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18. 奥底の感情

鈴木への連絡については、

“さぁ熱が冷めないうちに”と思い逸る気持ちと、“本当に進めても良いのかな”と思うネガティブな気持ち、この時の私は本当に半々の気持ちでした。


昨夜であれば、おそらくすぐに決断ができたと思うのですが、ひと晩 据え置くと、覚めるというか、冷めるというか。


今回、私が鈴木に提案した内容を振り返りますと、寂しく辛い日々を送っている親友 鈴木に、たった半日のこととはいえ、気分転換ができるように、私の愛する妻とデートをさせてやる。


つまり、私は彼のために、大切なものを貸して、彼を救ってやる。


あらためて私がイメージしたのは、鈴木に対しての優越感、上からの目線に立てそうな、そんな図式だったのです。


そしてここに書くべきことかどうか悩んだのですが……

器の小さな男、男らしくない男の戯言として聞いてください。


鈴木とは、同期の大親友でありながら、地位も収入も大きく「差」がついたことに対して、私は気にしたことはない、といえば嘘になります。

今のご時世、若い世代の方は、そんなことは気にならないし、気にしないと思う方が

ほとんどだと思います。

しかし「24時間戦えますか」、というフレーズの中でいわゆる企業戦士として歩んできた 私たちの世代としては、やはり同期とのこの「差」は気にするところだと思います。


鈴木という男は、これまでも、いや きっとこれからも、私に対して優越感を持ったり、上から目線になるようなことはないと思います。


しかし、彼よりも遥か下の順位に位置する私には、表現がとても難しいのですが、親友という大前提は揺らぐことはなく心からの友達として位置付けをしていながらも、

誰にも言えない深層心理的には、心のどこかに、鈴木に対しての嫉妬や羨望という気持ちは、本音を言えば、「あります」。


自分でも嫌になる心の奥底のダーティな感情ですが、もしかしたら読んでいただいている方の中にも共感をしていただける方がいらっしゃるかもしれませんね。


今回の「デートごっこ」の提案は、そんな私の奥底に潜む感情を擽ってきたのです。


あくまでも鈴木の気分転換、そして私自身のED回復に向けた刺激、そして鈴木に対しての優越感。


このように都合の良いワードを並べると、先ほどまでの私の迷いは一掃されました。


私はスマホを手にして、鈴木の電話番号を検索し、そのまま発信ボタンを押しました。


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