16. 悩みの告白
一方の幸美も 負けず嫌いの性格なのか、表向きは冷静さを装っていましたが、微妙に震えるような声で逆に提案をしてきました。
「じゃあ、私たちで鈴木さんを元気づける食事会とかは?」
「3人でハイキングとか温泉に行くとか、BBQするとかは? それじゃダメ?」
「ウチにご飯を食べに来てもらうとかは? 私、がんばって作るけど?」
鈴木と幸美がデートをするという方法でしか、自分の欲望を満たすことができない私は返しました。
「ごめん、それじゃ アカンのよ……」
「なにがダメ?」と目が潤んでいるような幸美。
ついに、私はカミングアウトをしたのです。
「実はオレ、最近、EDで悩んでて……」
「ED?」
「うん、インポになったんや……」
「インポって?」
「オイ!言わせるなよ、わかるやろ? ……だから刺激が必要なんよ…… それしかないんよ」
続けて私は、
・この若さで男として耐え難い残念な状態になっていること
・回復ためには性的な大きな刺激が必要なこと
・考えられる最大の刺激は、自分の愛する女房が他の男とデートすること
・そこで湧き上がる嫉妬という感情がエネルギーとなりED回復に繋がること
お気づきのように3番目と4番目はかなり強引な「こじつけ」ですが、女性にはわかるはずのないオトコの体のことだから、ということに丸めていたのです。
私は幸美に理解を求めるようと、ゆっくり、そして痛みを伴うくらい
大事な告白であることが伝わるようにポツリポツリと、
情けないトーンにして話しました。
「病院に行ってもダメ?」 幸美は現実的な問いをしてきました。
一番シンプルですが、悲劇の男になりきっていた調子の良い私が、実は一番ひるんだ問いだったのです。
「EDは精神的なものが原因」とか、「薬や湿布じゃ治らない」と私は返しました。
他にも同じような問答を繰り返しながら、幸美は、さっきまでの驚き、怒り、理解できない、といった表情から、徐々に和らいできているように見えました。
そしてもう一度だけ、おさらいをするかのように、このデート“ごっこ”の目的は、
・鈴木のため=亡妻で凹むメンタルの回復、そのための支援(気晴らしや気分転換)
・私のため=親友である鈴木の元気づけ、私自身のED回復のための刺激づくり
であることを、話したのでした。




