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02


太陽はどんどん傾いていき、赤ずきんちゃんは一度おうちへと戻ることにしました。家族は赤ずきんちゃんがにんじんを持って帰らなかったことに一瞬残念そうな顔をしましたが、赤ずきんちゃんが無事であることを喜びました。この日は妹や弟たちが積んできてくれたたんぽぽを食べることにしました。


太陽が沈んでまた昇って。赤ずきんちゃんは目を覚ましました。寄り添って眠っていた兄弟やお父さんお母さん、赤ずきんちゃんはまだ眠っているみんなを起こさないように、昨日の残りであるタンポポを食べてみんなを起こさないようにこっそりと外へ出ました。朝の気持ちの良い風が吹いています。朝の空気を吸い込んで赤ずきんちゃんは草むらのうえを走りました。狼の住む場所へと足を踏み入れてがさがさ音を立てながら進みました。


「狼さん、狼さん」


赤ずきんちゃんは狼さんに呼びかけました。すると草むらの音をがさがさ響かせて、狼がびっくりした様子で出ていきました。


「うさぎ!うさ公!こんなところに来て、他の狼に見つかったらどうするんだ」


なんだか焦った様子です、赤ずきんちゃんはそんな様子の狼に首を傾げました。


「他の狼に食べられたらどうすんだ」


赤ずきんちゃんはそんな狼の言葉に目をぱちくりさせて、ふくふく笑いました。


「狼さんってば優しいのね」


狼はバツの悪そうな顔をします。


「ちげえよ!ウサ公にホウコクする前に食われちまったら俺様の武勇が台無しになるからだ!」

「ホウコク?もしかして」


赤ずきんちゃんのお耳がぴんと立ち、ようやく赤ずきんちゃんは気がつきました。昨日よりも狼のお腹が大きく膨れているのです。


「ああ!昨日の人間はもう俺の腹のなかだぜ!」


へへんと自慢げに話す狼に赤ずきんちゃんは尊敬の眼差しを向けました。


「ありがとう狼さん!やっぱり狼さんはすごいのね!すごいわ。すごいわっ!」


赤ずきんちゃんはそれはもう嬉しくて、狼を中心にしてくるくる回ります。


「やめ、やめろよ!くるくるまわるな!俺様はウサ公が怖がっていた人間を食ったんだぞ!怖いだろう。すっごく怖いだろう!」


狼は爪を見せて獰猛な牙を大口を開けて見せつけました。赤ずきんちゃんは回るのを止めましたが、きらきらした目は止まりません。


「ええ。とっても怖いわ。狼さんはとっても怖くて、とっても優しいのね」


狼はどうしていいか分からなくて、その大きなお口を閉じました。人間を食べれば赤ずきんちゃんは怖がって逃げ出すと思っていたのに、全然怖がってくれません。


「畑に行ってみるわ。にんじんをみんなの処へ持っていくわ。ありがとう狼さん」


赤ずきんちゃんは嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねて狼の視界からいなくなってしまいました。


畑に着いた赤ずきんちゃんは、昨日の置いたままになっていたカゴの中にたくさんのにんじんを入れてお家へ戻り、目を覚ましてタンポポを食べていた家族ににんじんを持って行きました。家族はみんな喜んで、赤ずきんちゃんもお腹いっぱい食べることが出来ました。


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