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ラウンド4:フォルスタッフ vs シェイクスピア

捨てられた男の華麗なる大反論


(舞台は酒場風のセット。木製のテーブルと椅子、吊り下げられたランタン。バグパイプの陽気な音楽が流れると、どんっと大きな足音――フォルスタッフが登場!)


(観客から「待ってましたー!」という声も)



---


あすか(楽しげに登場)

「さあ、舞台の空気が一変しましたよ〜!

 第4ラウンドは、ウィットとお腹を愛するこの男!

 陽気な飲んだくれ、フォルスタッフさんの登場です!」


(フォルスタッフ、ドヤ顔で片手を腰に、もう片手にジョッキを持って高々と掲げる)


フォルスタッフ(大声で)

「うおーっほっほっほ!この会場はえらく真面目すぎるな!

 酒と笑いが足りんぞ、酒と笑いが!」


あすか(くすっと笑って)

「今日は“文句を言う日”ですけど……もしかして、飲みながら言う気ですか?」


フォルスタッフ(にやっと)

「当然だとも!

 それに今日はな、作者様にどうしても言いたいことがあるんだ!」


(袖からシェイクスピア登場。やや警戒気味に)


シェイクスピア(苦笑しながら)

「……やあ、フォルスタッフ。元気そうで何より。

 その腹が今日も立派だ。」


フォルスタッフ(胸を張って)

「当たり前だ!

 この腹には、ローストビーフと友情と裏切りの痛みが詰まってるんだからな!」


(観客、笑い)


フォルスタッフ

「さっそく聞くぞ、ウィリー。

 なぜ、私をあんな形で“切った”!?

 王になったハル王子が、“知らぬ”って言って私を追い払ったあのシーン……

 劇場で本気で泣いた観客、どれだけいたか知ってるか?」


シェイクスピア(真剣な表情で)

「……あの瞬間こそ、彼が“王になる覚悟”を示した場面だった。

 君との別れは、彼の少年時代との決別でもあったんだ。」


フォルスタッフ(ぐいっと身を乗り出して)

「じゃあよぉ、それなら“元気でな”くらい言ってくれたっていいじゃねえか!

 “私はお前を知らぬ”って、まるで私は過去の失敗そのものか!?」


シェイクスピア(言葉に詰まりかけながら)

「……あれは、ハル王子にとって、最もつらい選択だった。

 君は、彼にとって“大切すぎる存在”だったからこそ――

 真正面から断ち切るしかなかったんだ。」


フォルスタッフ(しんみりと)

「……あの頃のハル坊は、酒場で一緒に笑ってくれてた。

 私の冗談に腹抱えてさ。

 私が“偽物の戦果”を吹いても、“いいぞいいぞ”って、笑ってくれた……」


(観客、しんとする)


あすか(優しく)

「……フォルスタッフさん。

 あのシーン、切なかったですね。」


フォルスタッフ(鼻をすすって、笑顔に戻り)

「でもよ、シェイクスピア。

 お前、私の死を“舞台外”で済ませただろ?あれはないだろ!?

 『ヘンリー五世』で“ああ、フォルスタッフは死んだらしい”って、ナレーションで終わり!?

 あんなに客に愛されたキャラを!?」


シェイクスピア(手を合わせて)

「……本当にごめん。

 あの時、君を舞台に出せば――観客はまた君の方を見てしまう。

 “ハルの時代”を描くには、君を舞台の“向こう側”に送るしかなかった。」


フォルスタッフ(少し沈黙して、ふっと笑って)

「……うん、わかってる。

 でもよ、ちょっとくらい……“夢オチ”でもう一度、舞台に出させてくれてもよかったのになぁ。」


シェイクスピア(肩をすくめて)

「フォルスタッフ――

 君は“死んだ”んじゃない。

 “記憶”になったんだ。

 観客の笑いと涙の中で、君は生きてる。

 君の台詞は、今も酒場と舞台に響いてるよ。」


(フォルスタッフ、目を閉じてゆっくりうなずく)


フォルスタッフ(ジョッキを掲げて)

「……そうか。

 ならいい。なら許す。

 今夜はお前の芝居に乾杯だ!」


(観客、笑いと拍手)


あすか(にっこり)

「名物男・フォルスタッフ、

 その太っ腹と大きな背中は、今も舞台のどこかにあるのでしょうか。

 ありがとうございました!」


(フォルスタッフ、舞台袖に手を振りながら退場)



---


あすか(客席に向かって)

「幕間を挟んでラストラウンドはスペシャル対談!

 次に登場するのは……“本物の”ローマの英雄。

 ユリウス・カエサル vs シェイクスピア――いよいよ対決の最終章です!」


(暗転)

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