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ラウンド2:ジュリエット&オフィーリア vs シェイクスピア

愛と運命に翻弄された乙女たちの叫び


(舞台は月明かりのような青白い照明。後方にはバルコニーと、池の水面を模したセット。

 やがて音楽と共に、二人の少女が舞台に登場――ジュリエットとオフィーリア。

 仲睦まじく手を繋いでいる。会場から拍手と「かわいい〜」という声)



---


あすか(登場しながら)

「続いてのラウンドは、

 愛に生き、愛に散ったふたりのヒロインによる、シェイクスピアさんへの直談判です!」


(観客:おお〜っ)



---


あすか

「ご紹介しましょう。

 家族の因縁を超えて恋に落ち、毒薬のキスで命を閉じた少女――ジュリエット!

 そして、王子に翻弄され、花と共に水底に沈んだ哀しき乙女――オフィーリア!」


(ジュリエットは軽やかにスカートを翻して一礼、オフィーリアはほのかに微笑んでカーテシー)


ジュリエット(勢いよく)

「ねえ、シェイクスピア!ちょっとお話があるの!」


オフィーリア(控えめに、でもはっきり)

「……ずっと、言いたかったんです。あなたに、どうしても。」


シェイクスピア(少し戸惑いながら)

「おやおや……今夜の舞台はまるで法廷のようですね。

 おふたりとも、お美しい。まるで今にも詩が生まれそうだ――」


ジュリエット(ぐいっと前に)

「褒めてごまかさないで!

 14歳で恋して、結婚して、死ぬなんて早すぎると思わない?!」


オフィーリア(小声で)

「しかも、好きな人に冷たくされて、父に操られて……

 最後は、誰も助けに来てくれなかったんです。」


ジュリエット(オフィーリアの肩に手を置き)

「私はロミオと愛し合ってたのに、すれ違いで命を落として……もう、すれ違い多すぎ!」


オフィーリア(ぽつりと)

「私なんて、ハムレット様が“尼寺へ行け”なんて言うから……

 本気にして、ほんとに心、壊れちゃった……」


ジュリエット

「ねえ、何でこんなに悲劇的にしちゃったの?

 もっとこう……ハッピーエンドってあるじゃない?」


シェイクスピア(たじたじ)

「えーっと……これはだな……当時の劇場の需要と、ジャンルと、興行の都合と……」


(オフィーリアがじっと見つめ、ジュリエットが手を腰に当ててにらむ)


シェイクスピア(観念して笑いながら)

「……つまり、“愛すること”がいかに美しく、そして脆いかを描きたかったんだ。

 君たちの物語は、悲劇ではあるが、永遠に語り継がれる愛の象徴になった。」


ジュリエット(むっとしながら)

「それって、“人気キャラだから我慢して”ってこと?」


オフィーリア(そっと)

「でも……私の花の歌や、沈む姿が、“美しい”って言ってもらえること、

 少し……嬉しかったりもします。」


ジュリエット(ふっと笑って)

「ロミオはバカだったけど……本気で愛してくれたことは、信じてる。」


シェイクスピア(真剣に)

「君たちは、“愛にすべてを賭けた者たち”なんだ。

 だからこそ、人は君たちの名を忘れない。

 ジュリエット、オフィーリア――君たちが悲しみを抱えながらも純粋であったこと、

 それが世界中の心を打つんだよ。」


オフィーリア(そっとシェイクスピアを見て)

「……でも、もうちょっと幸せなセリフ、くれてもよかったんじゃないですか?」


ジュリエット(くすっと笑って)

「今度書くときは、“私たちが笑って終われる物語”にしてよね!」


シェイクスピア(笑顔で、手を胸に)

「約束しよう。

 君たちの魂がこれほど美しく光るならば、

 次は、笑いと共に舞台に立ってもらおう――永遠のヒロインたちとして。」


(ジュリエットとオフィーリアが顔を見合わせ、頷き合う)


ジュリエット

「……ふふっ、これで少しは気が済んだかも。」


オフィーリア(優しく微笑みながら)

「じゃあ、またいつか、“違う物語”で会いましょうね。」


(二人は手を取り、光の中へ退場)


あすか(感動気味に登場)

「愛と涙に満ちた物語――その内側には、伝えきれない思いがあったんですね。

 でも、だからこそ…その“想い”が、観る人の心に届き続けるのでしょう。」


(客席から拍手)



---


あすか

「幕間を挟んで、続いてのラウンドは――

 差別と偏見に苦しみ、それでも誇りを貫いた男が登場。

 シャイロック vs シェイクスピア、どうぞお楽しみに!」


(暗転)

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