特別トーク:登場できなかった者たちの思い
それでも舞台の外で、生きている
(舞台は落ち着いた書斎セット。あすかがインタビューテーブルに座り、原稿用紙の束を手にしている。
対面には、紅茶を片手にしたシェイクスピア)
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あすか(にっこり)
「本編が終わったあとも、続々と“声”が届いています。
今回は特別に、“出演できなかった登場人物たち”から寄せられた思いを、
ここで作者ご本人に読んでいただきます!」
シェイクスピア(微笑んで)
「ほう、それはまた……私に対する“第二の裁判”というわけですね。
喜んで受けましょう。」
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◆1通目:リア王より
あすか(読み上げ)
「『愛する娘を追い出し、裏切り者に全てを与え、
最後には嵐の中で狂ってしまうとは……老いとは、こんなにも過酷なものなのですか?』
――リア王さんより。」
シェイクスピア(しみじみと)
「リア王……君は王でありながら、父であり、ただの老人だった。
君の狂気は、真実を知った者だけが辿り着ける痛みだった。
君の苦しみは、私の中でもっとも深い“人間らしさ”として刻まれているよ。」
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◆2通目:マクベスより
あすか
「『野心を持っただけで、なぜあんなに地獄を見せるのですか?
私は予言に従っただけなのに。』
――マクベスさんより。」
シェイクスピア(軽く頬に手をやって)
「彼の“ただの野心”が、あそこまで壮絶な悲劇を招くとは、
書いた私も途中で怖くなったものです。
でもマクベス……君の物語は、力と欲望と罪の深淵を、
誰よりも雄弁に物語ってくれた。君は“影の王”だよ。」
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◆3通目:オセローより
あすか
「『なぜ、彼女の言葉をもう少しだけ信じさせてくれなかったのか。
私はただ……愛していただけだった。』
――オセローさんより。」
シェイクスピア(表情を曇らせて)
「……私も、そう思う時がある。
もし君がもう一度だけ、彼女の目を見ていたら……と。
だが嫉妬とは、愛の仮面をかぶった怪物だ。
君は、その業を体現してしまった。」
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◆4通目:デズデモーナより
あすか
「『私は嘘をついていませんでした。
でも、最後まで“愛している”って言いました。
それで、よかったんでしょうか?』
――デズデモーナさんより。」
シェイクスピア(そっと紅茶を置いて)
「よかったよ。
君の“愛は死の中にあっても揺るがなかった”。
その強さが、オセローの弱さを際立たせた。
悲劇だけど……君は、真のヒロインだった。」
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◆5通目:ロザリンドより
あすか
「『私、男装して森に入って、恋愛指南して、
最終的に“なんかうまくいった”んですけど……これ、ちゃんと意味あります?』
――ロザリンドさんより。」
シェイクスピア(笑いながら)
「あるとも!とてもある!
君の機知、勇気、柔軟さは、
私のコメディヒロインの中でも最高傑作だ。
“恋は森のように複雑”ということを、君はそのまま体現してくれたよ。」
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◆6通目:リチャード三世より
あすか
「『私をあれほどの悪人にしておいて、
“犬のように死ぬ”なんて結末はないでしょう?
しかも、馬!馬って!』
――リチャード三世さんより。」
シェイクスピア(肩をすくめて)
「すまない、リチャード。
君の“悪”はあまりに魅力的で、筆が止まらなかった。
“馬をくれ”の一言で、君の狂気と絶望が凝縮されたんだ。
君は……私の中で最も“演じるに値する悪役”だったよ。」
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◆7通目:ヴァイオラより
あすか
「『男装、入れ替わり、三角関係、
混乱しっぱなしでしたが……最後に笑えたから、全部OKです!』
――ヴァイオラさんより。」
シェイクスピア(ほっとしたように)
「……ありがとう。
君の物語は、“アイデンティティと愛の錯綜”を
楽しく、でも真剣に描けた一篇だった。
君のユーモアと誠実さが、あの作品を救ってくれたんだ。」
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◆8通目:プロスペローより
あすか
「『私は、あなたの中の“最期の声”だったのでは?
もしそうなら、私の杖は、あなた自身のものだったのですね。』
――プロスペローさんより。」
シェイクスピア(目を細めて)
「……君は、私だよ。
すべてを創り、そして手放す者。
君が“劇を終わらせる魔術師”なら、私は“それを書く魔術師”だった。
最後に君に杖を折らせたのは、私の“舞台への別れ”のつもりだった。
ありがとう、プロスペロー。」
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あすか(感動気味に)
「……本当に、どの登場人物も“生きて”いたんですね。」
シェイクスピア(ゆっくりと頷いて)
「彼らは皆、私の“創作”であって、私の“鏡”だった。
そして同時に、観客たちの心の中にある声でもあったんです。」
あすか(にっこり)
「じゃあ、次にまた“誰かの声”が聞こえたら――
その時は、あなたがまたペンを握る番かもしれませんね?」
シェイクスピア(ウィンクして)
「……その時は、もう少し穏やかな役を書きましょうかね。
できれば、文句を言われないような。」
(観客、笑いと拍手)
あすか(満面の笑顔で)
「これにて、特典トークも終了です!
シェイクスピアさん、そしてすべてのキャラクターたちへ――
ありがとう。そして、またいつか、舞台で会いましょう!」
(暗転)




