第73話「勇者だョ!全員集合②」
「意外だったわぁー、お前だったらドレスを着て来るかと思ったのにぃ。あ、でもその兵士みたいな格好も可愛いと思いますよぉ?」
「……相変わらずイラつくわね……調子に乗れるのも今のうちだけだかんね?……唯有くんとか来たら、どうなるか知らないから!」
「男の背中に隠れて良い御身分ですねぇ?」
「……あ?殺すぞ?」
「……おいおい、急にガチギレかよ……俺、コイツの地雷がどこにあるか本気で分からねぇよ……普通にごめんって……」
「…………チッ」
「なぁなぁ、ソーレたん?いつから坊主は女の子にモテるようになったんだ?」
「これのどこがそう見えるの……?」
先ほどから喧しい女――アンコモン勇者の『宮津 有紗』――は数日前、たまたま街中で出会ったのだが……
……………………
…………
……
「はぁ……やっぱ重い……これ……」
「まだ城から1キロも歩いてませんよ……?そんなんで行軍出来るんですか?」
「私が持とうか……?」
「橘……気持ちはありがたいが……やめて……はぁ……惨めになるから……」
様々な場面を想定した戦闘訓練の末、ようやく武器の方向性が定まり、鍛冶場から拝借したものを大きな布袋に入れて運んでいるのだが――重すぎる。俺より少し小さい人間をおぶってるようだ。
「やはり、もう少し軽量化したほうがいいのでは……?」
「はぁ……少しでも射程距離は広げておきたいんだよ……それに……これより下のサイズは……はぁ……小さくなりすぎて使い物にならねぇ」
「鍛冶場の人に頼めたらいいんですが……」
「あの忙しさ見ただろ……?」
現在、城内にある鍛冶場は大忙しだ。
勇者たち全員――主にレア以上のランク――の装備を数日以内に新調しろ。という無茶苦茶な発注に四苦八苦していた。
特に一部の勇者のこだわりが強すぎて、何度も修正依頼が来ているらしく棟梁はブチギレ。
そんな棟梁にあのヴィルトゥが頼み込んでも――
『頼むよぉ〜この二人の装備を整えるくらいお前なら容易いことじゃねぇかぁ』
『ほんともう勘弁してくだせぇ……ヴィルさんの頼みでも今回ばかりは、ほんっとに無理なの!』
『ほぉ……?…………最近、赤毛のメイドちゃんとは随分仲が良さそうじゃないのぉ……?』
『……ッ!!!?……ちょ、ほんとやめてっマジやめてっ!!洒落になんないからっ!!』
『おいおい、何をそんなに慌ててるんだぃ?……奥さんにバラされたくなかったら……分かってるよな?』
『いやぁあああああああああああああああッ!!!』
――鍛冶場に保管されている装備であれば好きに持ってって構わない、と許可は貰えたが流石に武器の細かい調整などは難しそうだった。
でも、こればかりは仕方ないし国からの支援もまともに受けられなかったコモン勇者がこれ以上の贅沢を望めばバチが当たりそうだ。
「あれれぇ〜〜?もしかして、コントローラーくんじゃない?」
声のした方を見ると、どこかで見たような女三人……いや、コイツらは……
「えーっと……確かクラス一緒の?」
この三人組は確か、よくクラスで騒いでいたカースト上位の女子グループ。
そして、声をかけてきたのは同学年の女子の中で一番の権力を持つ『宮津 有紗』――
中学生のくせに髪をガッツリ金色に染めた不良……いや、ギャルという分類に入るんだっけ?
よく先生たちからも黒に染め直せと言われていたが、宮津の親がモンペだったのか……とある時期から何も言われなくなった。岡守先生も黙認するほどなので、相当厄介な親なんだろう。
確か……あれは中二の頃だっただろうか。男子たちが宮津の話をしていたっけ――
『なぁ、宮津ってエロくね?』
『分かる……なんかさ、大人の色気?ってやつかな?』
『本当に同い年かよ』
『なんか噂だと……パパ活してるらしいぜ?』
『え?中学生で?』
『俺はなんか暴走族の彼女してるって噂を聞いたぞ?』
『マジか……じゃあ、色んなこと知ってそうだな』
確かに顔は整っているし、さぞモテることでしょう。だけど――
――嫌いなんだよぁ……特に中身が。
基本的に学校内での女子たちの暗黙のルールとして『宮津の機嫌を損ねたらいじめを受ける』というものがあり、その影響力は他クラスにまで及んでいた。
要するに俺が嫌いな人種なのだ。
「それにしても何その格好……ボロッボロじゃないの。つか、なにそれ重そうね?荷物運びでもさせられてんの?」
「なんか、こういうのって……歴史の教科書に載ってなかった?」
「あ、確か……エジプトの奴隷じゃない?」
宮津の後ろにいる取り巻き二人がケタケタと笑う。絶妙にイラつくなぁ……誰がエジプトの奴隷じゃ。
「ところで、三人は……どうしてドレス姿なんだ?」
「ふふっ、いいでしょ〜?可愛くな〜い?」
なぜかは分からないが、この三人……貴族が着てそうなドレスを着ている。
取り巻き二人はそれぞれ水色とピンクのドレスを着ているのだが……なぜか宮津のドレスは黒い。俺にはそれが少し不気味に思えた。
「さっき、今度の作戦で身につける装備のサイズを測ってたんだよね。そのついでにドレスを着せてって頼んだの」
「へぇ、そりゃ良かったね……俺たち急いでるからそろそろ行くね」
「なっ……ちょっと待ちなさいよ!もう少し付き合いなさいよ!」
「えぇ……嫌だよ。俺はこの通り、奴隷みたいに重い荷物運んでんだよ?早く行かせてくれよ」
「置けばいいじゃん」
「ごもっともで……」
なんだかこれ以上、ややこしくなるのも嫌なのと……正直、少し休憩したかったので重い布袋を置く。
「その荷物……その人のために運んでたの?」
宮津はソーレのことを指差す。
ソーレの方を見ると……無感情だ。無感情に何かを見つめている。視線の先を辿ると……ドレス?
ソーレお前……ドレスに興味があったのか……そうかそうだよな……本来であれば着飾りたいお年頃だもんな……。
「ヤマト……その目やめてくれます?」
「あ、あぁ……すまん……えーっと、この荷物は俺のだ」
「なぁんだ……つまんな」
何を期待してたんだコイツは。
「その荷物の中身……何が入ってんの?」
「ナイショ」
「はぁ?キモッ」
「キ!?……まぁ……いいや……」
「なんかさぁ……せっかく元の世界とは違うとこ来たのに、つまんないんだよねぇ……せっかくドレス着てオシャレしても、周りには誰もいないし。お金をもらっても出店とか一つも出てなくて……なにここ、ゴーストタウンなの?」
「今は国民全員、総出で今日明日食べるもんをかき集めてるよ」
「え……?……でも、毎日豪華な食事とか食べれてるじゃん」
「そりゃ、勇者わな。国民はちげーよ。今度の作戦で戦いに行く俺たち勇者や兵士たちのために我慢してくれてんだ」
「……なにそれ……なに真面目ぶってんの?……コントローラーくんもつまんないね」
「仕方ないよ、だってコントローラーくんだもん」
「確か、本人が好きなものとかが勇者の固有スキルに反映されるんでしょ?」
「固有スキルがコントローラーって……どんだけコントローラー好きなのw」
「ねぇ、有紗もそう思うよね?」
「…………ッ!?あ、うん!そうね……」
……?なんだ?
一瞬だけ宮津の様子がおかしかった気が……
いや、そもそもコイツ……
「ところでさぁ……」
取り巻きの一人の口調が変わる。
「さっきからなにシカトしてんだよハム子ぉ!」
「……ッ!!」
ハム子――
その名称は聞き馴染みがあった。橘に使われる蔑称だ。
由来は、ハムスターのように丸くて太ってるから。
クラス内で女子たちがまともに『橘 日和』という本来の名前を呼ぶことは無い。
俺もその蔑称を聞くたびにイライラしていたものだ。
本当はこんな奴らを橘に接触させたくはないのだが、クラスメイト全員が召喚された以上こういう場面は避けられない。
「なんとか言えよっ!」
もう一人の取り巻きも人格が変わったかのように攻撃的になる。
これが橘の過ごしてきた日常なのだ。
橘の身体がかすかに震えている。
だが――
「私は……ハム子じゃない……」
「「は……?」」
「私には……親から貰った大切な名前があるの……これ以上その名前で呼ばないで」
「ははっ、さすが!よく言った!」
――今の橘は弱くねぇ。舐めてもらっちゃ困るぜ。
「なに調子のってんだよっ!」
「また水ぶっかけてやろうかっ!?」
「おぉ怖っ……それじゃ、そろそろ行きますか」
「そうですね」
「うんっ!」
改めて重たい布袋を肩にかける。
「はぁ!?おいコントローラー!なに終わらせようとしてんだよ!」
「有紗!コイツらに言ってやってよ!!」
「え……?あ……ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!!!!」
「はぁ……やっぱ重たい……」
「お父さんが棟梁と交渉中ですから、もしかしたら重さを調整してくれるかもしれませんよ?」
「それまではやっぱり、私が持とうか?」
「いや、そこまで逞しい発言は求めてないよ……?」
「ちょっ!?無視ぃ!!?」
「なーんか騒がしいと思ったら、手繰じゃん!」
――前方の道の曲がり角からひょこっと、男二人組が現れる。コイツらは……
「先日はよくもやってくれたな」
「あん時のジジイはいねぇみてぇだな……」
大浴場でヴィルトゥに返り討ちにあったサッカー部二人だ。
さらに――後ろからぞろぞろと、他のクラスメイトたちも現れる。
「え、なに?なんでこんな集まってんの?」
「さっきそこで装備のサイズ測ってたんだよ」
そういや、さっき宮津が言ってたな。
「そうなんだ、奇遇だね。じゃあ、また今度」
「待てよっ!」
サッカー部二人が目の前に立ちはだかる。
「つれねぇこと言うなって……」
「せっかくだしよ、お互い能力試そうや」
「嫌だよ、面倒くさい……」
「なんかさ……お前、前よりも態度でかくね……?」
「つか、なんだよお前……その人、めっちゃ可愛くね?……あれ、なんで橘がここにいんの?」
奥にいるクラスメイトたちは、いちゃもんを付けるって感じじゃなさそうだ。純粋に興味があるから見てる、って感じか。
宮津たちやサッカー部二人がいることから、あの男女の集団もアンコモン勇者。女神が飼い殺ししてるだけあり、暇なんだろうな。
「そいつら、私たちに酷いことしたんだからっ!!」
「やっちゃってよ!!」
後ろで騒いでいた宮津の取り巻きがこの流れを助長してくる。本当にやめてほしい。
「へぇ……そりゃいけねぇなぁ」
「一度、実力の差を教えてやろうぜ?」
サッカー部二人は、足元にサッカーボールを出現させる。
「俺も人のこと言えないけどさ……サッカーボール出すってなに?」
「あれから俺たちも練習してよ、新技……お披露目タイムだ」
「もしかしたら死ぬかもよ?」
――背中の重い布袋を地面に落とす。激しい金属音が鳴る。
「手繰くん、私は左をやるね?」
「お、手伝ってくれんの?さんきゅ」
「ヤマト、私は?」
「すまんが下がってろ。能力的にミスマッチだ」
「分かりました」
左手にコントローラーを顕現――右手で布袋に入っている武器に触れ、両手でコントローラーを握る。
橘の全身からは白い光が溢れ出る。
「「行くぜっ!!」」
右の一人はボールに乗っかり、それがゆっくりガタンゴトンと音を鳴らして徐々に上がっていく。なぜか半透明なレールのようなものが浮かびあがり、渦を描くレールに沿って進んでいく。ある程度の高さまで上ると、半透明なレールが一直線に俺に向かって伸びてくる。
左のもう一人はボールを宙高く打ち上げ、瞬時にボールの位置まで飛び上がる。ボールを打ち出す前に全身とボールが白く発光し……なぜか本人から天使の翼が生えた。
「ジェットコースター殺人事件ッ!!」
「ジャッジメント・キルッ!!」
――パァンッ!!
「へ……?」
布袋から……濁った金属色の一閃が光る。
同時に右のボール――ジェットコースター殺人事件――が弾け飛ぶ。
左のボール――ジャッジメント・キル――が発射、
「ふんっ!!」
「は……?」
――される前に、すでに飛んでいた橘にそのまま蹴り上げられる。
――タタタ。
高いところから、サッカー部二人と橘が無事着地。
「「え……?」」
「橘、さっきの…………足、大丈夫か?」
「ちょっと……痛いかな……」
「じゃあ、能力使っておけよ。コイツらの自業自得だし」
「うん」
「……さっき、何が起こったんだ……?俺のボールが勝手に弾けた……?まさか……暴発?」
「……俺なんて……え?……橘に……蹴り返された……?…………ッ!!……痛ッッッテェェェ!!!!」
「ッ!?ど、どうした!?」
「み……右足が……痛ェ……なんだこれ……まさか、ジャッジメント・キルの反動か!?……練習の時はこんなことなかったのに……」
「武器の使用感、どうでした?」
「あぁ、やっぱ使いやすい。重いけど我慢して運ぶ価値はあるよ。不満な所があるとすれば……色かな?夜間戦闘を想定すると金属特有の光沢が邪魔になりそう」
「では、黒く塗っておくのはどうです?」
「うん、そうだな。着色だけ棟梁にお願いできないか、後でおっさんに聞いてみるか」
「どう……なってるの……ハム子が……え?」
「何あれ……うそでしょ……?」
「うわ……布袋が少し破けてる……」
「持てますか?」
「…………大丈夫そうだわ。よし、二人とも行こうか」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!!」
周囲が橘の人間離れした動きに困惑する中――宮津だけは、また違った困惑を見せていた。
「アンタ……その右手……どうなってんの……?小指が……ないじゃん……」
「あぁ……いや、これは……」
「自業自得の傷です」
「……酷いな……でもその通りかも」
「ハッキリ答えなさいよ」
「これは、まぁ……特訓中についた傷……みたいなもんだよ」
「え……?特訓?……なんのために?」
「そりゃ、今度の作戦で生き残るために……だけど」
「生き残る……って、私たちは参加するだけで良いんでしょ?それに唯有くんとか先生いるじゃん」
「まぁ、お前たちは大丈夫だろうけど……」
俺たちコモンとは違って、アンコモンは女神に命を狙われていない。余計なことは話さないが吉か。
「……いや、でもまぁ……念の為、かな?」
「念の為……?そのためにアンタ……小指失ったの?バカじゃないの……?」
「バ……まぁいいや。でもさ、唯有や岡守先生、あとクリムゾンとかが戦ってくれてる間、俺たちって100%安全なのか?相手は魔王軍だぜ?数千、いや数万規模の軍勢に物量で押し込まれたら、さすがのレジェンダリーたちでも俺たちまで守ってくれる余裕があると思うか?」
「……ッ!!?……うそ……」
「それに、作戦がもし失敗したら、この国はマジで危なくなる。特に問題なのが食料だ。このままだと餓死者が出る。そうなると俺たちの生活にも影響が出るし、そうやって呑気にドレス着て笑っていられなくなるかもな。割と良いもん食わしてもらってるんだろ?それも無くなるかもしれないぞ」
「は……?それマジで言ってんの?」
「別に俺はレジェンダリーたちを信用してないんじゃない。岡森先生やクリムゾンならやってくれると信じてる。だが、だからといって全部任せっきりにして自分が準備しないのは違うだろ?作戦が99%で成功するなら、しっかり自分たちが準備して100%にする。みたいな感じだよ」
「…………ねぇ、最後に聞かせて」
「どうぞ」
「アンタ……本当に魔王って……倒せると思う?」
「思ってるよ……と、言い切りたいが……さっき話した通りだ――」
「――勝てる見込みが1%でも、それを100%にするための準備する。どんな手段を使っても」
「…………なにそれ。何必死に頑張っちゃってんの?キモ……」
「キ!?……コイツ…………せっかくだし、俺からも最後に質問いいか?」
「……どうぞ」
「お前……なんでこの世界に来たことに恐怖を感じて無いんだ?」
「…………は?」
「いや、俺の思い違いだったら申し訳ないんだが……他の奴らでも恐怖を感じてなさそうな奴らはいるけどさ、そういう奴らって……『魔王を討伐する』とか『能力を試したい』とか『自分より下の奴を見て安心したい』とか、そういう形で恐怖を一時的に忘れようとしてる風に見えるんだが……お前は純粋に『この世界に来れたことが嬉しい』ように見えたんだよな」
「……ッ!!」
「ドレスを着て無邪気に笑えるか?普通。恐怖を一時的にでも忘れるためにドレスを着てみよう……だったらまだ分かるが、俺にはそうは見えなかった。見当違いなことを言ってたらすまん。だが、興味がある。教えてくれないか?」
「死ねよ。勝手な思い込みしてんじゃねぇよ。気持ち悪ィんだよ。『君のことを俺が一番分かってあげられる』アピールか?吐き気がすんだよ。何様のつもりだよ。アンタに私の何が分かるってんだよ。言ってみろよ。何も現実を知らねぇ能天気なガキが。私がその現実を教えてやろうか?あ?次、同じこと言いやがったら殺すからな」
「……………………すまなかった……二人とも、行こう」
俺は、周りのクラスメイトたちに目を向けることなくその場を後にした。
「ヤマト……先ほどは一体…………え?」
「……え?……手繰くん……泣いてるの……?」
「……ずず……泣いてねぇし……なんなんだよアイツ……人がせっかく心配してやったのに……気持ち悪いだの吐き気がするだの……なんか不安でも抱えてんのかなぁって、悩み事でもあんのかなぁって……ちょっと不安を煽るようなこと言ったから、そのお詫びとして励ましてやろうかなぁとか思ったのによぉ……マジなんなんだよアイツ……」
「……ヤマト?」
「なんだよっ!ちょっとやそっとの励ましじゃあ俺は立ち直りませんからね?」
「本当に気持ち悪かったですよ。さっきのは私もどうかと思いました」
「……へ?」
「なんかちょっと……私も……勘違いしちゃった系男子に見えちゃった……かな」
「橘まで……?」
この後、ヴィルトゥとの特訓にて――本来なら起こさないミスを連発。ヴィルトゥの放った魔法が直撃して瀕死の重症を負った。
……………………
…………
……
そういった経緯があり、宮津という女は俺にとって『本気でムカつく人物リスト』に仲間入りしたのである。
「それで……?アンタ、しっかり準備してきたんでしょうね?」
「あぁ〜?舐めんなよ?こちとら俺一人で魔王軍なんて蹴散らしてみせるわボケェ」
「はっ!やってみなさいよっ!出来たらなんでも言うこと聞いてあげるからさぁ!」
「あ!言ったな!?ねぇねぇ、ソーレさん?橘さん?今の聞きましたぁ?」
「はぁ……場所を考えてください……」
「ほどほどに……ね」
「――静粛にっ!!」
謁見の間、入り口付近にて、礼服を着たおじいさんが声を張り上げる。手に持っていた巻物を広げ――
「――ただいまより、女神の奇跡にて召喚された八名の勇者一行をメイスーン王国国王陛下の御前へとお迎えいたす!――開門っ!!




