白銀美桜02
「ねえ、こいつらむかつくニャン。
追い出していいニャン」
リムがわたしに聞く。
「ちょっと待って、なんか偉い人とかに逆らったらややこしくなるかも」
「ふうん、わかったニャン」
リムはわたしの後ろに下がる。
「わたしは、ジュエルボックスのマネージャーのキリシュです。
この子たちは世間知らずで…わたしがお話を伺います」
「そうか。こういうことはちゃんと教育しておけ」
「すみません。それで王宮での公演ですが。
彼女たちの芸は、そんなに高尚なものではございません。
王様のお目汚しになってはいけません。
ご辞退させていただきたいと思います」
キリシュさんはきっぱりと断る。
なんかこいつらの態度みていると、その方がいいような気がする。
「それはだめだ。
なんのために侍従長の一人であるわしが来ていると思ってるんだ。
おまえらに拒否する権利はないのである!」
「いえ、光栄だとは思いますが、なにぶん始めたばかりの芸でございます。
なにかそそうがあってはいけません」
「そんなことはこちらで決めることだ。
もし王様を怒らせるようなことがあったら、おまえらが罰をうければいいのだ」
言ってることがむちゃくちゃ。
でも、もし拒否したらこの騎士の人たちを倒さないといけないんだろうな。
美羽と一夏が退けたとしても、国と喧嘩したら王都でライブができなくなるだろう。
せっかく、劇場もできて上手くいき始めたところなのに。
「わかりました。
では準備にお時間がかかりますので、来月ではどうでしょうか?
王様のご都合のいい日を教えていただければ伺います」
美羽が答える。
「そうだな。
こちらの女はなかなか物分かりがいいようだ。
うむ、それではこちらからまた連絡をする。
それまでに最高の芸をお披露目できるようにしておけ。
もし、国王のお気にめさなければわかっているだろうな」
ちび髭は、偉そうに言う。
でも、さすがリーダーの美羽。
こんなときでもきちんと冷静に対処する。
「よろしくお願いします」
美羽はそう言って頭を下げる。
髭おやじはそれを見て満足そうに頷くと、踵を返して部屋から出ていくのだった。