フィリップ組キリシュ18
それにしても、闘気が以前と違う。
相当の修練を積んだんだろう。
たぶん、俺には勝てない。
相打ちが精一杯ってところだ。
「悪いな。俺はもう冒険者じゃないんだ。
ただのアイドルグループのマネージャーだ。
そんな俺を倒したところで、なんの意味もないだろう」
「いや。あの続きができるのなら、それでもいい。
あの試合はわたしが唯一の負けだ。
それも、完敗。
キリシュさんを倒さないと次に進めない」
「いや、今の俺にはお前に勝てない。
それに次ってなんだ。
誰を倒すつもりなんだ」
そう、こいつのやっていることはまったく意味がない。
それを俺はドラゴンとの戦いで嫌というほどに思い知らされた。
いくら強くなったとしてもあいつには指一本でひねりつぶされるのだ。
蟻は巨象にかなわない。
ただ、いらいらさせるくらいのことしかできないのだ。
そして、ひねりつぶされるだけ。
最強なんて意味がないのだ。
「次は魔王にでも挑もうか。
それにはあなたを倒さないとならない」
「負けを認める。
だから引いてくれ」
「戦いもせずにか」
「ああ、戦う意味はない。
俺はジュエルボックスさえ守れればいい」
「それなら、そのジュエルボックスとやらをカシウスたちに渡そう。
その邪魔をしないというのなら、あなたには手をださない。
それでいいのかな」
「それはダメだ。
彼女たちを守るのが俺の仕事だ。
そのためなら、お前と戦わないとならない」
俺は戦闘態勢になる。
「そうだ、それですよ。
やっと本気で戦ってくれるんですね。
これを待っていたんですよ」
ムサシは満面の笑顔になる。
この剣変態が。
まあいい。この仕事のためなら、俺の命、くれてやる。
俺は、ムサシの前で剣を構えるのだった。




