表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界アイドル転生譚 転生したら魔王たちに推されて最強です  作者: PYON
3章 ジュエルボックスとS級冒険者
83/293

フィリップ組キリシュ17

 俺とムサシが戦うことになった。

 やつはいやなタイミングで剣を抜いて攻撃をしてくる。

 大体の間合いはつかんでいるが、踏み込みの深さで距離が変わる。

 こういうのはレナードは苦手だ。

 剣の強さの戦いならレナードだが、速さや技の戦いなら俺のほうがいい。

 しかし、俺は命の削りあいをするつもりはなかった。

 変態かもしれないが、こいつの剣は本物。

 勝てるかもしれないが、ぎりぎりの戦いになる。

 少しのケガでも負ってはバカらしい。 

 もともと、戦う必要なんて一ミリもないのだ。

 それに勝っても得るものはなにもない。

 逃げるタイミングをつかむことに集中する。

 逃げるだけなら、なんとかなりそうだ。


「レナード逃げるぞ!」

 俺はレナードに声をかけて逆方向に走る。

 ムサシは一瞬レナードを見てしまう。

 それだけの隙があれば十分だ。

 俺は、一瞬で間合いをつめ、ムサシの腹に剣の柄を叩き込む。

 やつは刀を抜くが、その間合いでは窮屈過ぎてきれない。

 そう、居合は彼らの距離で戦ったらダメなのだ。

 だから、極限まで間合いを詰める。

 もちろんこっちも剣を振れない。

 だから、柄を叩き込むだけ。

 しかし、殺すわけではないので、これで十分。


「卑怯な。これは剣の勝負ではないのか」


「そんな約束をした覚えはないぜ」


「くそっ、こんなもの剣の勝負ではない」


「だから、俺は勝負なんてしているつもりはない。

 とにかく、この場を逃げるだけだ」


 そう、奴と俺はまったく別のことを考えていたのだ。

 だから、これで剣の優劣がつくわけではない。

 

「では、逃げさせてもらう」

 俺はレナードのあとに続く。

 ムサシは追いかけようとするが、腹にきついのを一発もらっている。

 俺のスピードにはついてこれない。

 そうやって、ムサシとの勝負を避けたのだった。


 その後も何度か見ニアミスはあったが、戦うことはなかった。

 やつは無抵抗の俺たちを斬るということはしなかった。

 もちろん不意打ちなどしない。

 あくまで正々堂々の勝負で俺たちを打ち負かそうとしたのだ。

 だから、そのあとは戦うことはなかった。


 そして、今、またムサシと再会したのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ