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異世界アイドル転生譚 転生したら魔王たちに推されて最強です  作者: PYON
3章 ジュエルボックスとS級冒険者
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フィリップ組キリシュ08

 その頃、ギルドで教えたのが、カシウスだったと思う。

 レナードは派手な剣技とか教えてたが、俺が教えるのはひとつだけ。

 死なない技術。

 やばいと思ったら逃げる、そして命を守ってなんとか町まで帰ってくる。

 そのためには身体を鍛えとかないとならないし、危険を察知することが必要だ。

 それと、最低限の護身術。

 短期間でこれをすべて叩き込まなければならない。

 そのために剣技など教えている時間はない。

 遊びじゃないんだ。


 それで、研修生たちは俺がレナードにくっついているだけの臆病者だと言い始めた。

 べつにそれはそれでいい。

 だからと言って研修生を打ちのめしても意味がない。

 俺は、臆病者という称号を甘んじて受けることにした。

 そう、臆病者であること、これが長生きする秘訣だ。


 カシウスたちの時はFIRE、つまりFinancial Independence, Retire Earlyというのがはやり始めた。

 経済的自立をして早期に引退する。

 それが冒険者の目標になった。

 一角千金のクエストをして、裕福に暮らす冒険者たちがもてはやされた。

 そんなこと滅多とないし、そういうのは一握りだ。

 そういうことがわからずこの世界に飛び込んでくるやつもいる。

 そういうやつらを俺は追い出すこととした。

 やつらは、少し厳しくしたら逃げ出す。

 それはそれでいい、俺はそう思っていた。

 悲惨な結末を迎える前に、退場いただいたほうがいい。 


 そんな俺は厳しすぎるとギルドから注意を受けた。

 結局、新冒険者を教育する役目は解かれることとなった。

 最後の日、カシウスたちは俺に挑んできた。

 しかし、俺は戦いを避けた。

 無駄な戦いは避ける。

 大事なことだ。


 まあ、今までいきてきてるんだ。

 少しは俺の言っていることもわかっただろう。


「おー、なんちゃってS級キリシュさんじゃねえか」


「ああ、おまえらは黒刃金だな」


「覚えていてくれたんだ。光栄です。

 ところでキリシュさん、何してるんすか?こんなところで」


「ジュエルボックスのマネージャーをやらせてもらってる」


「ふうん、冒険者やめたんだ。

 あんなに偉そうにしていたのに。

 おまえら冒険者に向いてねえ、いますぐ田舎へ帰れ! 

 とか言ってたのに?」

 拳士が俺をあおる。

 べつにいい。そんなことに腹を立てるほど若くない。


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