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異世界アイドル転生譚 転生したら魔王たちに推されて最強です  作者: PYON
3章 ジュエルボックスとS級冒険者

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フィリップ組キリシュ04

「大事な話がある!」

 フィリップ組長がみんなの前で声を張り上げる。

 その前に末端まですべての組員が呼び出されていた。

 総勢30人といったところか。

 でも、大事な話って。

 俺は組長に一生ついていくつもりだが。


「フィリップ組は今日を持って解散とする!」

 えっ、ちょっと待って。

 ジュエルボックスのおかげでやっとしのぎのめどが立ったっていうのに、このタイミングで。

 みんな、唖然とする。

 だれも言葉が出ない。


「そして、わしは芸能事務所を作る。

 フィリップ芸能社という。

 もちろん希望すれば、ここの全員を雇うつもりだ。

 出ていくものにも、少しばかりだが、支度金を払うつもりだ。

 よく考えて決めてほしい。

 いつまでもギャングって時代ではない。

 わしらは変わるんだ!」


 そうなんだな。

 やっぱりこの稼業は評判が悪い。

 家族にも肩身の狭い想いをさせてしまう。

 だから、組長は決断したんだ。

 これからも、冒険者くずれとか、弱い立場の人間とか。

 胸を張って人に言えるようにしようというわけだ。

 そのきっかけを与えてくれたのがジュエルボックスだった。

 組長の言うことに全面的に賛成だ。

 俺はもとに戻らなくてもいいように全力を尽くす。


 さいわい、今回劇場主のベルナさんと提携することができたので、ジュエルボックスだけでなく、音楽隊ひとつと劇団2つのマネージメントもできることとなった。

 これをきっかけにちゃんとした会社にしていこう。

 グッズの製作から飲食物の販売、客集めまで。

 そんなことをしている会社は今ないと思う。

 興行事はやっぱりいまはマフィアが仕切っている。

 王立劇場の王国音楽団や劇団は国が仕切っているが、それ以外は水商売とされている。

 だから、その仕組みを変えるのには、大きな力が必要だろう。

 そのための努力は厭わない。


 俺はレナードを犠牲にして生き延びてから死んだよう生きてきた。

 なんの希望も目標もなく、ただ流されるままに。

 だが、俺にやりたいことが見つかった。

 この会社を軌道にのせて、多くの弱いもの、傷ついたものに生きがいを与えるのだ。

 それが、俺が生き延びた意味かもしれない。


 俺は胸のシルバーチェーンを握る。

 そう、これはレナードの形見だ。

 おまえにもらった命、このために使えるなら悔いはない。

 

 組長が幹部を呼ぶ。

 俺もその一人だ。

 これから今後の話があるのだろう。

 俺は、チェーンを握りしめながら、組長のところに向かうのだった。

 

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