白銀美桜09
「それで、ベルナ劇場との契約は前に進めます。
あしたの午後に劇場で契約を行うということです。
契約書もフィリップさんのところで見ていただきましたが、文面に問題はないとのことです。
普通の劇場の契約書らしいです」
フィリップさんのところには弁護士みたいな人もいて、見てもらったらしい。
「ひとつ注意が必要なのは、他の劇場と契約を結んだときは違約金が発生するらしいです。
それが1000万ゴルと少し高いみたいです。
それだけ、わたしたちをつなぎとめたいのだろうということです。
でも、契約期間は一年。
それが経過したら、変更できるらしいです。
しばらく、この劇場をホームにがんばるってことになりそうです」
「「賛成!」」
「リーダーにまかせるよ」
まだ、ここにきて一週間くらいだし、とりあえずホームを決めるっていうのはいいかも。
それに、寮というか劇場の近くにすむところもあるって話だし。
「あと報酬の件とかはもう少し交渉します。
一回100万ゴルと売上の5%ということですが、80万ゴル3%に下げてもらうよう交渉します」
「それでいいよ」
佐那が同意する。佐那はこういうめんどくさいことは全部美羽にまかせる。
今度いってやらないと。
「では契約はひとりづつということになりますので、明日は全員きてください」
これも、契約を破りたくなったらチームを解散して、再結成というのを防ぐためで普通みたいだ。
「リムちゃんもだよ」
「わかったにゃん。でも、その契約書みせるにゃん」
美羽はリムちゃんに契約書を渡す。
リムちゃんは真剣な目で契約書を見る。
耳をぴくぴくさせて、尻尾を左右に動かす。
「これは…にゃん」
「どうしたの?」
「何もわかんないにゃん。
むずかしいにゃん」
リムちゃんはしゅんとした顔で契約書を美羽に返す。
背伸びしたかったんだな。
「それでは明日、たのんだよ」
美羽の言葉で会議は終わる。
リムちゃんが、外に出ていこうとする。
「どうしたの?」
「おじさんとかおばさんのところの行ってくるにゃん」
そう言ってリムちゃんは宿屋の外に走っていくのだった。