ベルナ劇場支配人01
わたしはベルナ劇場支配人だ。
この前、中央公園ですごいイベントを見た。
たぶん、300人くらい集まっていたので、少しのぞかせてもらった。
すると、若い女5人が踊ったり、歌ったり。
曲も初めて聞くようなものばかりだった。
そう言った良し悪しはわたしにはわからない。
しかし、金のにおいがする。
あの投げ銭の量。
その上、バッチ、握手会。
この女たち、稼げる。
実は契約書には仕掛けがある。
見た感じは普通の契約書だ。
だが、偽装の魔法がかけてある。
サインしたとたん、文面は奴隷契約書に変わる。
つまり、わたしの奴隷となるのだ。
いままでオーケストラ1個、劇団2つを奴隷にして、この劇場で働かせている。
しかし、ここは新興中小の劇場だ。
この王都にも大小100くらいの劇場がある。
そこと契約するやつらだ。
そんなに稼ぐことはできない。
集客力は低く、やつらの給料がタダだとしても赤字になることもある。
この偽装契約書にも金がかかっているのだ。
の別なくつまらない劇団や音楽家につかうのはもったいない。
このジュエルボックスというのは違う。
何がいいかわからないが、バッチはすぐに完売。
握手会も100人以上が並んでいた。
それに投げ銭の中に金貨まで混じっているのだ。
これは稼げる。
その上、若い女。それも別嬪ぞろいだ。
これは夜も楽しむことができる。
それと王都の有力者に貸し出せば、いろいろ便宜をはかってもらえるだろう。
劇団の女優たちも同じように使っているが、それほどの効果はない。
こいつらなら、金の卵になってくれるだろう。
ハハハハハ。
あっ、なんか一人だけなので声が出ていた。
まさか聞かれることはないにしても、気をつけないと。
契約までは紳士でいないとな。
ところで、あの水たまりはなんだ。
あんなところに水をこぼしやがって。
あとで、奴隷に掃除させよう。
そのとき、ねちねちといじめてやる。
やつらはわたしの鬱憤を発散させる道具なんだからな。
ああ、弱いものをいじめるのは気持ちいい。
あいつら恨みがましい目でわたしを見るだけで何もできないのだからな。
奴隷をよぶために、ドアを開けようとする。
え、さっきの水たまりがない。
気のせいだったか。
まあ、明日にはわたしの楽しみが増えているはずだ。
小娘たちにこの偽装は見破れない。
わたしは再び、大きな笑い声をたててしまうのだった。