白銀美桜06
翌日、例のおじさんたちがリムを連れてわたしたちのところにやってきた。
ちょっと、言っておかないとね。
「あのおじさん。あなたの名前を教えてくれませんか」
「リヴァイアでしゅ」
やっぱがちがちのかみかみだ。
「昨日はスタッフを紹介していただいて、ありがとうございます」
「いえ、とんでもないでしゅ」
「それで、フィリップさんから聞いたんですけど、無料で働くように言っていただいたみたいで」
「もちろんでしゅ。美桜さんのために働けるだけで、感謝してもらわないと」
「そういうのやめてください。
働いたらそれに見合った報酬を分け合います。
それでいいですね」
「はい」
目の前でリヴァイアさんは大きな身体を小さくしてかしこまっている。
リヴァイアさんたちはリムの親戚らしい。
少年がスラリム、女の人がフェリクスさん、おじいさんがノスフェラトゥさん。
でもこの5人って全然似てないけど。
「それじゃあ、練習するにゃん。
よろしくおねがいするにゃん」
リムちゃんはすごく元気だ。
「その前に衣装のサイズをはかる」
詩織がリムのサイズをはかって制作部に伝える。
やっぱ詩織の人使いは荒い。
制作部にもっと分配を多くしてあげたほうがいいかもしれない。
むこうではひたすら死んだ目でボール作りをしている人もいるし。
あっちではバッチ作り。
ブラックだ。
詩織に今度言っておこう。
「じゃあ、ダンスの練習するよ。
こっちに来て」
佐那がダンス担当。
いろいろ基礎的なことを教え始める。
佐那は基本教え魔なんだよね。
面倒見はいいけど、すごく厳しい。
「美桜、ちょっと来て。
美桜のダンスも直さないといけないから、いっしょにやっちゃうわ」
そう、わたしはこの中でいちばんダンスが下手だった。
わたしはリムの横でダンスの特訓を受けるのだった。