白銀美桜05
「みなさま、今日の売上は227万ゴルです」
計算もボスのほうでやってくれてる。
昨日までは美羽がやってたのに。
「わかりました。
それじゃあ、114万ゴルはフィリップスさんのところで分けてください」
美羽はわたしたちが決めたとおりに分配する。
「え、あの、わたしたちは」
「働いていただいた分はきちんと分配します。
すごく助かりましたので」
「あの、これは受け取るわけにはいきません」
「すごく至れり尽くせりでした。
これからもお願いしたいです」
「それは良かったです。
もちろん、これからもやらせていただきます」
「ええ、だからお金のことはきちんとしたいのです。
今日は山分けって感じですが、これからは経費とか考えてきちんとやりましょう。
わたしたちはビジネスパートナーですから」
「でも、これを受け取ったら。
わたしたちは」
顔のやけどを押さえて泣きそうな顔になる。
「もしかして、あのおじさんたちですか?」
わたしは、口をはさむ。
そういえば、あのチンピラの人、かみかみのおじさんとどっかいったな。
「え、めっそうもございません」
ボスは全力で否定する。
やっぱあのかみかみおじさんだな。
「あのおじさんたちなら、わたしたちから言っときます」
「ありがとうございます」
ボスはお金を受け取る。
それから、ちょっと試したいことがある。
わたしは歌っている間、なんか身体の中でぐるぐるするものがある。
みんなライブの間の疲れ方が以前と違うっていうけど、もしかして。
「ちょっとまって」
わたしはボスの顔の傷に触れる。
そして、癒しっぽい歌詞の歌を歌う。
わたしの手が光って、ボスの顔の傷がだんだん消えていく。
完全に消えたところで手を放す。
うん、これで大丈夫。
「ありがとうございます」
ボスは手で自分の傷を確認して、涙を流してわたしの前にひざまづくのだった。