白銀美桜04
握手会が終わって、ジュエルボックスは簡易控室のテントで休んでいた。
でも、いっしょにあの猫耳少女と大きいおじさん、一昨日の少年、派手なおねえさん、フードのおじいさんがいる。
この人たち、みんな知り合いらしい。
「リム、帰ろうよ」
少年がなだめるように言う。
「うん、また今度にしましょう」
おねえさんも説得するが、少女は動かない。
みんな困った顔。
「妾はジュエルボックスに入るにゃん。
歌ったり踊ったするにゃん。
妾にもできるにゃん」
美羽はわたしたちに相談に来る。
確かに可愛い子だし。
わたしたちは才能あるものは拒まない。
可愛いも才能だ。
もし、向こうにこの子がいたら可愛すぎる地下アイドルとかいってすぐに有名になるだろう。
「わかったわ。
でも、研究生ってことでいいかしら。
歌とかダンスとか覚えられたら6人目のメンバーとしてステージに立ってもらうけど。
覚えられなかったら、ステージには立てない。
厳しいけど、耐えられる?」
「耐えられるにゃん」
耳をぴくぴくさせて美羽を見上げる。
「じゃあ、明日またここに来て。
おとうさんとかおかあさんは…」
「我はちがうぞ」
「わたしも違うわ」
付き添いの二人は否定する。
「この子にそういうのはないから、でも大変だよ」
「迷惑をかけたら即やめてもらう。
それでいいよね」
一夏が付け加える。
「それでいいにゃん」
耳をたたんで少女はわたしたちを見回す。
かわいい。ちょっとレベルがちがう。
まるで猫みたい。
「じゃあ、期待してるよ」
美羽は少女と握手をするのだった。