白銀美桜03
「おつかれさまです」
アンコールが終わって、10分間の休憩。
その間にスタッフの人たちが握手会の準備をしてくれてる。
前回までは自分たちでやってたけど、スタッフがやってくれるから少し休める。
全力でライブやるから本当はくたくたなんだ。
でも、なんであの人たち手伝ってくれるんだろう。
それも、バダイもいらないって。
でも美羽は今日の収益の一部を渡すみたいだ。
わたしもそれでいいと思っている。
「詩織さん、ボール100個作りました」
なんか、すごい疲れた顔で制作部の人が来る。
「ありがとう」
なんか詩織は人使いが荒いみたいだ。
「そろそろ握手会です」
わたしたちを呼びに来てくれる。
みんな立ち上がって、自分の場所に行く。
もうたくさんの人が並んでいる。
前回の倍ぐらいいるじゃん。
大銅貨一枚で握手。銀貨一枚でそれにミュージックボールがつく。
「ありがとうございます」
「すごいよかったです。感動しました」
つぎつぎとファンと握手をしていく。
「あっ、一昨日の。
いつもありがとうございます」
あの大きなおじさん、銀貨を渡してくれる。
わたしはボールを渡して握手する。
「今日もよかったでしゅ」
「また絶対に来てくださいね」
「絶対にきましゅ」
なんか、このおじさん、固まってるけど。
「妾もジュエルボックスに入ってやるにゃん!」
あれっ、美羽の前にすごい可愛い子。
猫耳でしっぽを揺らしている。
「ありがとう。
でもね。新メンバーは募集していないの。
ごめんね」
美羽はやさしく少女に言う。
「入るにゃん。
妾も歌って踊ってできるにゃん」
「まずい」
大きいおじさんは、そう言って少女のところに走っていくのだった。