龍王リヴァイア05
そのあと猫ニャンは大層なはしゃぎぶりだった。
立ち上がって、踊る、いっしょに歌う。
まわりの人も猫ニャンをみて笑う。
そう、こいつは絶世の美少女でもあるんだ。
美桜たんには負けるけど。
我も声を限りに美桜たんの名前をさけぶ。
いつの間にか最後の曲になっていた。
「最後の曲聞いてください」
美桜たんが中央に来て静かな歌を歌い始める。
心にしみいるような、優しい声。
すべてをつつみこむような。
切なくて、でも希望をもてるような歌詞。
我の目から涙がこぼれる。
となりの猫ニャンも同じ。
涙を流しながら聞いている。
とりあえず、無事終わったみたいだ。
「ありがとうございました。
これで、今日のライブは終わりです」
そう言ってひとりひとり舞台から降りていく。
「これで終わりニャン」
「ああ、でもアンコールがあるかもしれない」
だれも帰ろうとしない。
そこらへんから手拍子がおこる。
アンコール。
アンコール。
みんなが合唱する。
しばらくして、美羽が舞台に上がってくる。
「みんな、アンコール、ありがとう。
じゃあ、もう一曲だけ。
みんなも歌ってね」
大きな拍手がおこる。
その拍手の中、全員が舞台に上がる。
そして、歌が始まる。
繰り返しの部分をみんなで歌う。
我らとジュエルボックスがひとつになる。
すごい。幸せが背筋を這いまわる。
猫ニャンも飛び跳ねて歌っている。
「美桜たーん!」
我は必死で推しの名前を叫ぶ。
美桜たんは我のほうに手をふってくれる。
歌が終わっても、立つものはいない。
そう、みんなライブの余韻に浸っているのだ。
「決めたにゃん。
妾もジュエルボックスに入れてもらうにゃん」
猫ニャンの爆弾発言で我は現実に引き戻されるのだった。