龍王リヴァイア04
これで一安心だ。
バッチとボールは手に入る。
もちろん代価は渡しておく。
これはジュエルボックスにわたるんだからな、
少し多めでもいいくらいだ。
あとはライブ中、猫にゃんがおとなしくしてくれるかどうかだな。
ボスが我らに特等席を用意してくれている。
なかなか使えるやつだ、
それと屋台も開いている。
神聖なライブ中に飲み食いするのは本当はよくないが、今日は別。
食べ物でこいつがおとなしくしてくれたらそれにこしたことはない。
串焼きとフライポテトとジュースをたのんでおく。
これもきちんとお金を払う。
たぶん、ジュエルボックスの売上になるんだろうからな。
それと少しの銀貨でチップを渡す。
これだけやってくれるんだ。
ただ働きをさせるのも可愛そうだ。
「おいしいにゃん。
こんな楽しいの、なんで誘わなかったにゃん」
「えっ、だからこの前偶然に」
「そうにゃん。
これからいつも連れてくるニャン」
なんか尻尾を立てて嬉しそうだが、面倒をみるのは今日だけだぞ。
あとはじじいや、スライムに任せる。
でも、猫って大きな音とか苦手っていうけど、大丈夫か。
こいつがパニックとかなったら、この会場くらいふっとぶぞ。
そしたら出禁とか。
やばい、やばい、やばい。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
「ジュエルボックスのライブを始めます」
アナウンスまでつけてくれてる。
会場は一瞬静かになる。
そして、イントロが流れる。
舞台に美桜たんが上がってくる。
一礼して、歌い始める。
この歌声、やっぱ最高だ。
我は夢の中を漂うように歌声に身をまかせる。
すぐに一曲目が終わってしまう。
あ、猫ニャンのこと忘れてた。
横に目をやる。
猫ニャンは口を大きく開けたまま静止している。
どうしたんだ。
「大丈夫か?」
我はリムに問う。
「すごいにゃん」
猫ニャンは舞台を見つめたまま、そうつぶやくのだった。