龍王リヴァイア03
「楽しいにゃん」
我は少女と手をつないでいる。
なんかいかついおっさんに美少女。
すごく目立つみたいだ。
道行く人がみんなじろじろと見てくるのだ。
我がそいつらを睨むと目をそらし逃げていく。
みんな美女と野獣だって思ってるだろう。
しかし、野獣はこいつなんだ。
いや、野獣よりやばい。
そう、みんなが我にこの猫ニャンをおしつけたのだ。
こんなやつの面倒をみながら、神聖なライブに集中できるわけないだろ。
その上、なんか物販まであるんだぞ。
ロゴ入りバッチ大銅貨5枚だって。
欲しいにきまってんじゃん。
こんなやつ連れて間に合うのか。
握手会も当然あるよな。
え、握手会銀貨一枚であのミュージックボールが。
まじかよ。
こんなん、こいつの世話してる場合じゃない。
「おい、鳥。
こいつの世話たのめないか」
「やるわけないじゃん。
わたしは忙しいの。
連れていくって言ったのトカゲでしょ」
やっぱだめだ。
「スライム。
バッチとミュージックボール買っといてくれないか」
「やだよ。
それに一人一つって書いてあるよね。
詩織たちのルールは守らなきゃ」
だめか。
しかたない。
あとで力づくで奪うしかないか。
猫ニャンと戦うよりましだからな。
あ、あの顔のやけどはボスだな。
「おい、おまえ。
ちゃんとやってるか?」
「あ、はい。
言われた通り設営から物品作りまで、やってます」
「そうか。
ものは相談だが、その物品をこっちに回してもらうわけにはいかないか?」
我はドラゴンの王、ずるをするなんて我には合わないが、この場合背に腹は変えられないのだった。