魔王会議
パトリック王国の北。
樹海の広がる森の中に、ひときわ高い山がある。
この山は神の山と呼ばれていた。
その頂上の神殿に4人の魔王が集っていた。
「おまえら、結論はでてるよな」
龍の王が問う。
「うん、人間を滅ぼすなんてないわー。
ジュエルボックスのライブが見れなくなるじゃない。
誰?人間を滅ぼすなんて言ってたやつ?」
火の鳥が言う。
「ところで、次のライブは明日じゃったよな」
不死の王が話題を変える。
「うん。絶対に行く」
スライムは嬉しそうに飛び跳ねる。
「今度は抜け駆けはなしじゃぞ。
みんな大銅貨をもっていくんじゃ。
それでないと、わしがせこいやつだと思われてしまう」
「でも、投げ銭はいいんでしょ。
ゴクラクチョウの羽根を全部抜いてもっていこうか」
「それなら、我は鱗だ。
我の鱗は高く売れるっていう」
「みんな、常識的に。
詩織たちがこまっちゃうよ」
スライムが暴走を止めようとする。
「じゃあ、投げ銭は金貨一枚までにしようぞ」
不死の王も意見を述べる。
「それにしても佐那ちゃんのダンス。いいわ~」
「やっぱ、美桜たんの歌だ」
「一夏たんじゃ」
世界を決める会議はあらぬ方向に脱線する。
その時、神殿のドアが開く。
そこからはいってきたのは、猫耳の幼女。
原初の悪魔にして、最強最悪の悪魔、ケットシーのリムだった。
全員が話をやめてリムを見る。
「みんな、人間を滅ぼしにいくにゃん。
妾についてくるにゃん。
日和ってるやつ…いるにゃん?」
ケットシーは4人の顔を順に見ていく。
「いねえよにゃん!」
リムはそう言って無邪気に微笑むのだった。