04
「あの劇場、やっぱり皇帝の言う通りです。
アイドルを奴隷のように扱っています。
レッスン代や客の入りが悪いときは劇場代をアイドルの負わせて、借金づけにしています。
そして、人気が翳ってきたら借金のかたに奴隷にするという仕組みです」
やっぱりそんなことをしていたのか。
許せん。アイドルに対する冒涜だ。
わたしは横の太刀を持って立ち上がる。
「今すぐ成敗してやる!
用意をしろ」
「待ってください。
劇場だけでそんなことできません。
裏に貴族がいるのです」
「どこの貴族だ」
「アズウェル卿です」
「あいつはわたしに従順な貴族のはずだが」
「裏では無茶苦茶言ってますよ。
ドルオタ皇帝とか、アイドルバカ皇帝とか。
ロリコンの変態皇帝とか。
アイドルに入れ上げて政務のおろそかにする無能野郎だとか」
「もうよい」
「他にも皇帝サンバってあれなんだ。
音楽はサンバでもなんでもないし、あの衣装。
カッコいいとでも思ってのか。
国民は喜んでいるんじゃなくてバカにしてるんだぞとか。
あんな皇帝は早く退位したほうがいい。
他の国になめられているぞとか」
「もう良いといってるだろ!」
「他にもいろいろ悪口を言ってるみたいですが」
もしかして、こいつ自分が思ってることを言ってるだけなんでは。
わたしはジュエルボックスに出会ってから心を入れ替えて善政を引いているつもりなんだがな。
以前のわたしは暴君だったからな。
それを国民は受け入れてくれていると思っていた。
「それではアズウェル卿も成敗しなければならないな」
「悪口を言ってるからですか?
ほとんどの貴族は同じですが」
「そうじゃない!
我が国の文化の発展のためだ!
お前にはそんなこともわからないのか!」
わたしはカクオンを一喝する。
でも、以前のようにカクオンはかしこまることはなかった。
また、これも心の狭い皇帝とかネタにでもしようとしているな。
わたしはそう感じるのだった。