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03

 それにしても、おかしい。

 アイドルというのは夢を与える仕事だ。

 戦争さえも無意味にしてしまう。

 とんでもない力なのだ。

 それは美羽たんが心から良いものを作ろうとしているから。

 それなのに、今日みたアイドルグループの表情は死んでいる。

 作られた笑顔、決められたダンス、心のこもらない歌。

 これはなにかあるな。


 わたしはカクオンとスケールにその旨を伝える。

 彼らも同じことを思っていたみたいだ。

 噂ではアイドルを食い物にするやつらがいると聞いたことがある。

 もしかして、そういう組織が裏にいるのかもしれない。

 これは調査しなければならない。

 我が国でせっかく育ち始めたアイドル文化の芽が摘まれる。

 そんなことは避けなければならない。


 一度は国立のアイドル劇場を作ろうかと考えたこともある。

 美羽たんを教師に呼んで、アイドルを育てるという計画だった。

 しかし、それは美羽たんに止められた。

 アイドルというものは作るものではない。

 自由闊達な空気の中から生まれるものだってね。

 もし、国の力でアイドルを作っても、面白いものはできないってね。

 やはり、美羽たんのいうことは素晴らしい。

 わたしはすぐにその計画をとりやめた。

 そして、アイドルが自然に発生するよう見守ることにした。

 そのアイドル文化が少しづつ育ち始めている。

 わたしはそれに口は出さないつもりだ。

 しかし、それを邪魔しようとするものがいるなら、話は別だ。

 それはわたしが排除しないとならない。


 わたしはカクオンにこの劇場を調べるように指示する。

 それも秘密裡にだ。

 とかげの尻尾斬りになってはいけない。

 こういうのは裏にいるやつを根こそぎ退治しないとならない。

 

 わたしはその報告を待つ。

 これは皇帝として大事な仕事なんだ。

 宮廷ではドルヲタ皇帝とか陰口をたたくやつもいる。

 ひどいやつらはロリコン皇帝とかいうやつもいる。

 違うのだ。

 わたしは真剣に国のことを考えているのだ。

 以前のわたしは軍に金をつぎこんでいた。

 次に公共工事だ。

 立派な建物を建てることが国力を誇示する手段と思っていた。

 それから私自身の生活も派手だった。

 皇帝は国の代表、それなりの恰好と生活が必要と思っていたのだ。

 それらはすべて幻想だった。

 本当の国民の幸せとは、国民たちが自由にアイドルを推せるような国。

 それにつきるのだ。

 さて、仕事だ。

 わたしは机の上の書類に目を通していくのだった。

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