エピローグ01
太平洋の真ん中にその島はある。
その島は国連が管理する島となっている。
世界でも重要なと位置づけられる。
なぜなら、その島は魔王の島と呼ばれているからだ。
島には4つの城があり、それぞれ魔王たちが住んでいる。
魔王はいきなりこの世界に君臨した。
最初は傭兵として現れた。
なんでも、推し活の費用を稼ぐためとかわけのわからないことを言ってたそうだ。
大国が小国を攻めている戦場に小国側の傭兵として雇われたのだ。
それは政治的な判断ではなく、ただバイト代がいいからとかいう下世話な理由だったらしい。
魔王はおっさんと女と老人と子供という凸凹な構成。
最初、味方からも笑いが生じるくらいだった。
ただ、彼らが戦場に降り立つととんでもないことが起こった。
おっさんは戦車をワンパンでふっとばす。
女は空を飛んで戦闘機を撃墜する。
老人が杖を振ると空から火の玉、氷の槍、雷、隕石が降る。
その上、死んだ兵士たちが生き返り残りの兵士を襲う。
子供は一瞬で相手の作戦を読み、先回りして軍隊を無力化していった。
大国軍は3日で壊滅したのだ。
彼らはなぜか急いでいた。
その理由は4日後にはライブがあるからとか、これもわけのわからない理由であった。
そのあと、大国は全面撤退することとなった。
普通なら大損失を生んだ侵攻。
国としても、そんなに簡単にはやめられない。
吐いた唾は呑めぬ、というやつだ。
だが、現代の戦争は経済原理で動く。
大国といえど、今回の損失は巨大すぎた。
このまま続けても勝機もみえない。
そんな戦争にまた資本をつぎ込むことはできなかったのだ。
圧倒的な力、それは目の前のものを叩き潰すだけでなく、いろいろな思惑を生む。
結局、交渉による解決をはかられることとなった。
魔王たちは巨額の報酬を得た。
それは戦争が続くことを考えると微々たるものであったが、小さな国の国家予算に匹敵するものであった。
それに、彼らを中立の存在とするため、国連が窓口となった。
彼らには国連から年金が支払われることとなった。
あるとき、他の大国からこの島を魔王たちに進呈するという提案があった。
魔王たちを取り込む国があらわれないように隔離するというのがひとつの目的。
他にも目的があったが、それは表向きにはされなかった。
国連が事務所を置き、快適な環境が整えられた。
もちろん、ここは監獄ではない。
魔王たちの移動のために旅客機や戦闘機が用意された。
ただ、魔王たちはそんなものを使わずとも東京まで一瞬で移動してしまうのだが。
4つの城が建てられ、そこが魔王たちのねぐらとなった。