原初の悪魔 クロウ14
あの黒い球体の中でなにがあったんだ。
タリスは楽しそうにワイトと肩を組んで、ジュエルボックスの歌に合わせて踊っている。
どうしたんだ。
正気に戻れ。
しかし、今はタリスをなんとかしている場合ではない。
今残っているのは、わたしとカミラだけだ。
「次は妾にゃん。
相手はクロウか、カミラにゃん。
どっちでもいいにゃん。
なんなら、両方でもいいにゃん」
腕をぐるぐる回してケットシーはやる気満々だ。
「わたしは見送るわ。
少し考えていることがあるからね。
それまで、魔力を温存したいの」
「カミラさん、裏切るのですか?」
わたしはカミラを見る。
「クロウの言うことに少し疑問を感じたの。
それだけじゃないけどね。
わたしはこの世界に危険があるものを排除する。
ただそれだけ」
「では仕方ありません。
わたしが相手をしましょう」
ケットシーさえ倒したら、カミラもこっちに戻るでしょう。
それにやつらの詰めは甘い。
レオラスも、アクオスもまだ戦える。
タリスはもう使い物にならないでしょうがね。
「リム、ちょっと待って。
次はぼくだよ。
こいつにわからせないとね。
世界の仕組みを]
「あーこいつらスラリムのことを知らないにゃん?」
「うん、たぶん」
「なんですか、スライムのことって?
彼もケットシーが創った幻獣でしょう。
それに幻獣にしては単純すぎる生命体です。
すべての生物の中で最弱の生物ですからね」
「ちがうにゃん。
スラリムは最初からいたにゃん。
妾がつくったんじゃないにゃん。
最初の友達にゃん」
ケットシーはスライムの言葉に同意するのだった。