原初の悪魔 クロウ13
「周りをみてごらん。
動いたら死ぬよ」
タリスはワイトを指さす。
ワイトは周りを見渡す。
「そういうことか」
「ああ、お前の周りに結界を張った。
糸の結界をね」
「それでさっきからの攻撃が雑じゃったんじゃな」
「そう、魔法でおまえの気を引きながら糸を張り巡らせてたの。
わたしの本当の力はこっちのほうなの。
残念だけど、これで詰みだよ」
「ほう、糸の結界か。
見事なもんじゃ」
「負けを認めるか」
「わしも部下たちにまかせて、遊んでいたわけじゃないんじゃ。
わしも結界を張っていたんじゃ」
「なんだと!」
「わしの結界はおまえのような物騒なものじゃないんじゃ。
わしの楽しい世界に招待しよう。
もう争いはやめじゃ。
ジュエルボックスと一夏たんの素晴らしさを教えてやる。
これは布教なんじゃ」
ワイトがそういうとワイトとタリスを黒い球体が包み込む。
二人の姿が見えなくなる。
もしかして、ワイトは相打ちを狙っているのか。
このまま、ワイトを自分の結界の中に閉じ込めようというのだろう。
タリスの無力化がやつの目的だったのだ。
なかなかの作戦だ。
タリスのことだ、このままというけではないだろう。
しかし、さっきの魔法大戦から考えて、すぐに抜けだすことは難しいだろう。
そう考えたとたん、球体は揺れ始める。
その揺れはだんだん大きくなる。
中でタリスが暴れているのだろう。
ワイトに押さえられるか。
まず無理だろう。
次に黒い球体ははじけ飛ぶ。
目の前にワイトとタリスが現れる。
「一夏たん、最高」
タリスの一声目だった。
「そうじゃろう。
一夏たんは素晴らしいじゃろ」
ワイトは満足そうに笑うのだった。