原初の悪魔 クロウ06
「では、瞬殺してあげましょう」
準備運動にちょうどいい。
こいつを倒してケットシーを待とう。
ジュエルボックスを人質にして、倒す。
まあ、そんなことをしなくても5人の魔王に勝てるわけはないんだが。
慎重すぎるのがわたしの短所であり、長所だ。
「できるならね。
でも、お前って悪魔の中で最弱じゃん。
たぶん、無理だね。
ぼくを殺すなんてね」
スライムの闘気が上がる。
っていっても悪魔のレベルではない。
身の程知らずめ。
さっきお仲間が瞬殺されるのを見ただろう。
普段ケットシーと遊んでいるから悪魔をその程度と思っているのだろう。
あいつは人をおちょくるのが趣味だ。
まともに戦っているのをみたことはない。
今回は本気をださないといけないだろう。
あいつは原初の悪魔の中でも異質。
本気で怒っているのをみたことがない。
って言ってもレオラスほどの強さはないだろう。
「では始めましょう。
原初の悪魔の力を見せてあげましょう」
「じゃあ、こっちが瞬殺してあげるよ。
ぼくは怒ってるんだ」
その時、スライムの後ろに大きな男が立つ。
さっき倒されたリヴァイアとか言うドラゴンだ。
ヒーリングにて生き返ったか。
ただ、まだ足がもつれている。
そんなのでまた戦おうというのか。
やっぱり、ケットシーの創ったやつだ。
バカばかりだ。
普通の生物は自分の勝てない存在に出会ったら、逃げることを選択する。
それなのに。
無謀にも我らに戦いを挑んでくる。
普通、自分の命より大切なものはないのにな。
そんな計算もできない。
神たちが創った人間も同じような行動を取る。
まったく意味不明だ。
早く終わらせよう。
そのとき、また別の声が邪魔をする。
「何、面白そうなことやってるにゃん」
スライムの後ろに立つ幼女。
こいつこそわたしたちが待っていたケットシーだった。
しかし、いつもケットシーと違って目が笑っていないのだった。