龍王リヴァイア03
もうすぐ我の番だ。
そう言えば、大銅貨って持ってないよな。
我はポケットを探る。
ポケットにはコイン。
やたっ。そういえば、この前キラキラしてるコインを拾ってたんだった。
我はポケットからコインを出す。
なんか金色だけど、これでいいのか。
次は我の番だ。
我は服で手を拭く。
なんか無茶苦茶ドキドキする。
順番が回ってきて美桜たんの前にたつ。
「ありがとうございます」
美桜たんがわしの顔を見て微笑む。
「ああ…」
なんか言葉がでてこない。
我はどうしたんだ。
「すみません、大銅貨一枚おねがいします」
あ、そうだった。
みんながわたしているのと色も大きさもちがうけど、これでお願いしよう。
「あ、大銅貨はないんだがこれで」
美桜たんにコインを渡す。
そのとたん、美桜たんの動きが止まる。
なんか少なかったのか。
「あの、おつりとか用意できないです」
美桜たんは金貨を返してくる。
我はそれを突きかえす。
「いや、おつりはいらない、でしゅ」
噛んでしまった。
「ごめんなさい。
じゃあ、他の人より少し長くお話しましょう」
美桜たんの柔らかい手が我の手をつつむ。
この右手、一生洗わないぞ。
「あの。すごく歌、よかったでしゅ。
感動しました。
これからも頑張ってくだしゃい」
また噛んだ。
「はい。もっといいライブにしていきます。
また、見に来てください」
至近距離で我に微笑んでくれる。
なんだ、このドキドキは。
「絶対きましゅ」
またまた噛んだ。
「あ、ちょっと待ってください」
美桜たんは胸のリボンを外す。
「おつりの代わりです」
美桜たんはそう言って我の手首にリボンを巻いてくれる。
神、神だこの子。
このリボンはどんな輝くものより尊い。
帰ったら祭壇を作って祭るしかない。
「ありがとうございましゅ」
我はまた噛んだのだった。