ガニア帝国皇帝クロノス05
「それで今日は何時からだ」
「え、なんのことですか?
この後のスケジュールですね。
13時から会議が入っています。
同盟の案を検討する重要な会議です」
「そうじゃない。
ライブだ」
「ライブ?」
何を言ってるのかわからないというように、わたしを観る秘書官。
「ジュエルボックスだ。
今日のジュエルボックスのライブは何時からだ」
「調べます」
「あとチケットをたのむ。
1枚くらいなんとかなるだろう」
「いえ、それは無理でしょう。
皇帝が鑑賞なさるのなら護衛が必要ですし、周りも開けなければなりません。
今からですと、先方に動いてもらわなくてはなりません。
それに今日からは市民たちの日です。
チケットを買っている市民たちをなんとかしないとなりません」
「それはだめだ。
ジュエルボックスに、美羽たんに迷惑をかけるわけにはいかない。
護衛なんていらん。
お忍びで変装すればいいのではないか。
市民の服を着てちりめんどんやの旦那っていうのはどうだ。
護衛もカクオンとスケールだけでいい。
あいつらは腕が立つからな」
「だめです。
今、あなたになにかあったら、世界は大混乱となります」
以前ならこの秘書官はイエスマンだったはずだ。
それなのに、わたしを細い目で見て意見してくる。
どういうことだ。
もしかして、わたしは舐められているのか。
昨日からおかしい。
なんか、そこらへんでこそこそ話とかしているし。
違うんだ。
わたしは狂っているわけじゃないんだ。
「ちがうんだ。
これは王国との親善のためなんだ。
わたしが美羽たんを応援することで、王国に対しての最大限の敬意を示すのだ」
「はいはい。
ちゃんと会議に出てくださいね。
わがまま言わないでくださいね」
なんかぼけ老人に対するような話し方。
こいつらわたしのことを……
しかたない。
わたしは、結局美羽たんのグッズを全部買ってきてもらうことで手を打つしかなった。
もちろん、保存用と飾る用をあわせて二個づつだ。