堕天使ゴクウ13
「おまえは誰にゃん?」
「斉天大聖、ゴクウだ。
神のひとりだ」
「神にゃん?」
「そうだ、神界から来た」
「神は妾たちの縄張りには手をださないという約束があるにゃん。
古代からの約束らしいにゃん。
だから、悪魔も神の縄張りを侵さないにゃん。
不可侵条約ってやつにゃん」
「俺は神界を追い出された。
神界とは無関係に動いている」
「堕天使ってやつにゃん。
ときどきくるにゃん」
「時々くるのか?」
「そうにゃん。
来たら駆除するにゃん。
外来生物は生態系を崩すにゃん。
サスティナブルとかなんとかいってたにゃん」
「そうか。
だが、俺はおまえを倒せば原初の悪魔の一員となる。
そうクロウと約束した」
「だめにゃん。信じたら。
クロウはうそばっかりつくにゃん」
「最終的にはクロウも、いや、悪魔全員を倒すつもりだ。
まず、最弱の悪魔リムを倒す」
「妾が最弱にゃん?」
「ああ、最弱の上に人間の前で踊ったり歌ったりして遊んでいると」
「遊んでいるにゃん?」
「人間に媚を売ってへらへらしている」
「アイドルは遊びじゃないにゃん。
ステージは真剣勝負の場にゃん!」
ケットシーの闘気が上がる。
もしかして怒ったのか。
おもしろい。
俺も闘気を身体に巡らすのだった。