堕天使ゴクウ11
じじいは、サゴジョウの火魔王をシールドを展開して防ぐ。
よぼよぼの年寄りになのに、なかなかの術だ。
今度はじじいから闇の触手が伸びる。
それをサゴジョウが風の刃で斬る。
じじいの闇の触手は消滅する。
両者ともに無詠唱無魔法陣での戦い。
初級魔法の欧州だが、かなりの魔法の使い手同士の戦い。
そして、今のところ互角。
「なかなかやるじゃないか」
「ああ、あんたもじゃ。
ただ、まだ若いがな」
「若い。
わたしは500歳は超えているぞ」
「わしは5000歳は超えているな。
正確な歳は忘れたがな」
術の応酬は続く。
しかし、だんだんじじいのほうが押しているように見える。
ただ、サゴジョウには奥の手がある。
あの瓢箪だ。
名前を読んで返事をするとあの瓢箪の中に吸い込まれてしまう。
ただ、名前がわからなければどうしようもない。
ところが、サゴジョウには名前を調べる魔法があるのだ。
普通であればなんの意味もない魔法。
だが瓢箪とセットなら最強の魔法だ。
「ネームサーチ!」
サゴジョウは杖を振り上げる。
じじいの頭の上に名前が浮かび上がる。
ウンコマン。
じじいはウンコマンというのか。
汚い名前だ。
たぶん、学生の頃、いじられたんだろうな。
さあ、これでおしまいだ。
さっさと片づけてしまえ。
「なかなかの魔法だ。
尊敬に値するぞ」
「あんたもじゃ。
なかなか筋がいい」
「敬意を込めてあなたの名前を呼ぼう。
ウンコマン。これがあなたの名前だ」
サゴジョウがじじいの名を呼ぶ。
じじいの返事はない。
まさか、間違えているのか。
あれは一番呼ばれている名前を表示するのだが。
「ウンコマン。
どうしたんですか?
おじいちゃんの名前ですよ。
ウンコマンさん、聞こえてますか?」
サゴジョウは耳が遠いのかと思って大きな声で呼ぶ。
「誰が!ウンコマンじゃ~!」
そのとたん、サゴジョウの頭の上に黒い雲が広がり、サゴジョウめがけて稲妻が落ちてくるのだった。




