スナイパー ガードナー
舞台から狼煙が上がる。
モーリスのやつ失敗したのか。
やはり、あいつらのやり方は効率が悪い。
これからの暗殺は俺たちの時代となる。
俺はスナイパーと呼ばれる暗殺者だ。
世界でも珍しい武器を使う。
それは魔導銃という武器だ。
引き金を引くと長い筒から鉛玉が発射されるのだが、その威力は絶大。
500m先からでもターゲットの頭をぶちぬける。
ただ、命中させるのは至難の業だ。
それに長けているのが俺たちだ。
今も闘技場の屋根から狙っている。
遠見の魔法で舞台の状況を見る。
あの、アイドルがターゲットだな。
これくらいの距離なら簡単だ。
俺は遠見のスコープを覗き込みながら、構える。
照準を合わせて引き金を引く。
これで今日の仕事は終わりだ。
弾丸はアイドルの頭をめがけて飛んでいく。
狙い通りだ。
そう思ったとき、隣のおっさんが信じられないことをする。
その弾丸を手で受けたのだ。
たぶん、おっさんの手が吹っ飛ぶはず。
それなのに、おっさんは何もなかったかのように手を開く。
弾丸が床に落ちる。
なんだ、あの手、鋼鉄ででもできているのか。
しかたない。
次で決める。
俺はもう一度構える。
とりあえず、落ち着かなくては。
心が乱れていては外してしまう。
案外、こういうのはメンタル勝負なのだ。
「何やってるの?」
「え?」
一度スコープを外して、周りを見る。
そこには派手なはっぴの女。
「おまえ、ウザいんだよ」
そう言って手を出すとその掌が燃えている。
「なんなんだ。お前は」
「うっせえな。お前に名乗る必要ないんだよ。コバエが」
女はそう言うと、俺に掌を向ける。
その掌から火炎が放射され、俺は消し炭になるのだった。




