白銀美桜09
一度舞台裏にひっこんで、舞台が元にもどるのをまつ。
わたしたちは、水分補給とか汗を拭いたりお化粧を直したりする。
舞台では大道具の人たちがあわただしく動いている。
落ちた看板をもとに戻すのは危険だし時間がかかるということで断念したみたい。
とにかく、看板を片づけると言う方針でやっているみたい。
「すみません。きちんとつけたつもりでしたが」
モーリスさんが謝ってくる。
「大丈夫です。誰もケガしていないし」
わたしはモーリスさんに微笑む。
そう、アクシデントはつきものだ。
元の世界でも急に音が聞こえなくなったりとかあった。
それよりもあの襲撃者は何だったんだろう。
え。
身体が動かない。
なんで、急に。
後ろからモーリスさんが近づく。
「すみませんが、死んでいただきますね」
わたしの顔を押さえて、何かをしようとする。
でも抵抗はできない。
わたし、殺されるの?
そう思ったとたん、後ろにリヴァイアさんが来て。
「何をやってるんだ!」
モーリスさんを押さえてくれる。
「いえ、べつに」
いや、殺そうとしたでしょ。
でも、声がでない。
「ほう、これは影魔法じゃな」
ノスフェラトゥのおじいさんが何かしてくれる。
その途端動けるようになる。
「許せん!」
リヴァイアさんが怒って、モーリスの腕を握りつぶす。
なんかすごい握力。
そして投げる。
そのとたん、モーリスは爆発して、空になにか煙みたいなのがあがる。
「ありがとうございます」
わたしはリヴァイアさんにお礼を言う。
「とんでもありません。
これがわたしの仕事れすから。
それより、危険な目に合わせてしまってすみません。
もっとはやく気づくべきれした」
ところどころ嚙みながら言うリヴァイアさん。
わたしは笑ってしまう。
「危ない!」
次にリヴァイアさんがわたしの頭のあたりから何かを掴みとる。
「何?」
「なんでもないでしゅ。
コバエのようなものでしゅ」
リヴァイアさんが手を開くと、カタンと音がして床に金属のようなものが落ちる。
「そうね。
コバエと同じくらいウザいわね。
ちょっと燃やしてくるわ」
フェリクスさんはそう言って、舞台袖から消える。
何が起きてるんだろう。
わからないけど、準備ができたみたい。
わたしたちはステージ再開に向けてスタンバイするのだった。




