空の女王フェリクス02
わたしは王都パルを歩いていた。
王は人間に変身することができる。
とりあえず、人間たちのようすをみてやろう。
まあ、結論はかわらないがな。
あの飛空船とかいううざい乗り物ごと葬ってやろう。
他の王たちは反対しないだろうな。
とくにケットシー、あいつは何を考えているかわからん。
たぶん、我らと反対のことを言い出すのだろう。
まあ、他の王の結論はわたしと同じとみていいだろう。
この王都も見納めか。
空をめざさなければ、こんなことにはならなかったのにな。
残念だ。
さて、あっちの方でなにか人が集まってる。
いちおう見に行ってみよう。
たぶん大したことはないんだろうけどな。
稚拙な音楽か稚拙な踊りだろう。
とくに踊りはみれたもんじゃない。
わたしたち鳥類の求愛のダンスのように洗練されていない。
まあ、ネタとして見物してやろうじゃないか。
わたしは、見えるところに陣取る。
目の前には5人の少女。
いままで見たことのない衣装を着ている。
いままで見た中で一番ましかな。
わたしたち、鳥類は美的な感覚を持っているのだ。
だから、オス鳥はきらびやかに着飾るのだ。
そういうセンスでは、まず合格点をあげよう。
歌とダンスが始まる。
え?このリズム。
ありえない。
それにあのステップ。
わたしの目はひとりの少女に釘づけにされる。
その表現力はすごいものだった。
歌や曲も斬新ですごいが。
そのダンスはいままでみたことがなかった。
躍動する身体、わたしは初めて人間に対しきれいだと思った。
そのダンスは激しくなったり、緩やかになったり。
でも決して止まることなく続く。
すごい。すごい。すごい。すごい。
わたしは時間をわすれて魅了されてしまう。
いつのまにか最後の曲が終わっている。
もっと見たい、もっと見たい。
「アンコール、アンコール」
わたしは大きな声でさけんでいた。
そして、5人の少女がもう一度中央に歩いてくるのだった。