白銀美桜05
ライブは大成功だった。
みんな盛り上がってくれたし、みんな歌ってくれた。
王都とは違うノリだけど、会場が震えた感じ。
とにかく、みんな満足してくれたと思う。
王国とは言葉が違うらしいけど、言語チートを持っているわたしたちには関係ない。
帝国の言葉でわたしたちのメッセージは伝わったみたい。
マネージャーのほうに次回公演の話があったみたいだけど、今のところ王都中心でやるつもり。
年に一度くらいのツアーはいいかもしれない。
その点はみんなで話しあおう。
とにかく手ごたえはあった。
たぶん、帝都でも受け入れられるだろう。
ライブが終わったら、みんな次の準備を始める。
明日には出発しないとならないからだ。
舞台や音響設備の解体と荷造り。
外は余韻がおさまらないのか、すごい騒ぎになっているんだけど、裏方では大変な作業が始まる。
特に舞台の解体は徹夜作業みたいだ。
わたしたちは反省会が終わったら、早め宿屋に引き上げるようにする。
「お疲れ様です」
「今日のライブも良かったよ」
作業をしながら大道具の人が返事をしてくれる。
「すみません。お先に失礼します」
「いいよ。俺らの仕事はこれからだから。
しかし、いいライブをしてくれるから、苦労のしがいもあるってもんだ」
「そう言っていただけるとうれしいです」
「今日はゆっくり休みな。
ライブがおねえちゃんたちの仕事なんだから」
「ありがとうございます」
わたしたちは礼を言って、裏口に向かう。
まだ、今日のライブを見た人たちが帰らないみたいだ。
勝手口のほうも人が集まっているみたいだ。
ダミーの勝手口が何個かあって、そのうち資材を運び出すところから変装をして出る。
むこうの世界ではそこまでしなくてもよかったけど、こっちではわたしたちは大スターだ。
それでも何人かのファンがいるみたいで、ガードの人が守ってくれる。
昨日と違ってもうお店とか行ったらダメなんだろうな。
宿屋も貸し切りにしているってことだ。
他の人の出入りがあると警備がしにくいみたい。
わたしたちになんかあると国際問題らしいから、当然といえば当然だ。
わたしたちは宿屋で集まって、食事やシャワーを終える。
あとは軽いミーティングをやって、まっすぐに寝室に向かうのだった。




