龍王リヴァイア02
さて、人間というものをよく見ないとな。
我らは世界の王、たしかに人間はうっとおしい。
ただ、それだけで滅ぼしていいものなのか。
いちおう、どういうものなのか見てみよう。
それが、王としての仕事なんだから。
我は人間の恰好に変身する。
大体、中年の筋肉質の人間になる。
まあ、強そうなイメージが引き継がれたんだろうな。
我は王都に入る。
いちおう、いろいろ質問されて、身体検査をされて。
以前も同じように街にきたとき、冒険者カードを作っていたから簡単にはいれた。
金も要求されたが、街に入る前に絡んできたやつからせしめた袋をそのままわたしておいた。
なんかたくさん入ってたみたいだが、我には必要のないものだ。
「お前はどこから来た」
薄汚いやつが話しかけてくる。
「あの山からだ」
「あれはドラゴンの山だな。
あの山に入って生きて戻ったものはいない。
とんだはったりやろうだ」
「はったりではない。
俺は…」
いかんいかん。
今は人間だった。
「どうした」
くさい顔をこっちに近づけてくる。
我は腕でその顔を払う。
そのまま、吹っ飛んでいく男。
弱いな。あの程度で我にからんできたのか。
愚かなやつ。人間とはこんなやつばっかりなのか。
それなら、滅ぼしたほうがいい。
我は歩をすすめる。
その我の前に、なんか人だかりができている。
あれはなんだ。
我は後ろから、人々が見ている先を見る。
我は普通の人間より頭ひとつ高いからな。
その前には5人の女の人間が立っている。
「それじゃあ、始めるよ!
1・2・3・4」
中央の女の合図に合わせて音楽が始まる。
それに合わせて横の女が歌い始まる。
なんだ、これは。
我はその女の歌にひきこまれていくのだった。