マネージャーキリシュ18
「敵の大将ゴーディ、取ったどー」
槍兵のひとりが腕を挙げる。
それにみんなが注目する。
「我々の勝利だ!
引き上げよう」
俺は、みんなに声をかける。
それで、みんなの動き止まる。
「逃げるものは逃がしておけ。
本陣に帰って我らの強さを伝えてくれるだろう。
かなりの尾ひれをつけて」
そう、こういう話は大きくなる。
兵士たちは、後片付けを始める。
幸い戦いによる死傷者はすくない。
力に差がありすぎたためだ。
それとこっちの兵は人を斬ったことはない。
そんな人間に簡単に人は斬れない。
ほとんどは格闘で倒している。
武器は使ったとしても殴るだけだった。
それでも簡単に敵兵を倒せたのだ。
よほどの弱兵の部隊だったんだろう。
敵の大将、ゴーディとその周りの幹部は捕虜としてとらえる。
相手の情報を聞き出したいからな。
ただ、ここまで弱い軍だ、どこまで知っていることやら。
とにかく、大勝利だ。
あとはウィラードに任せる。
俺たちは引き上げる。
ゴーディをとらえたアボットくんと話ながら。
とにかく勇敢な兵だ。
聞いてみると軍隊とか冒険者の経験はないらしい。
それなのにこれだけの人材がいるなんて王国も捨てたものじゃないな。
それと彼はジュエルボックスの大ファンらしい。
王都の門が近づくにつれてだんだん身体が重く感じてくる。
たぶん張りつめていた気が抜けたんだろうな。
まわりのみんなも同じみたいだ。
それにしても、やばいくらいに重い。
ちょっと休憩だ。
もう歩けない。
身体の節々がいたい。
すべての筋肉が悲鳴をあげている。
どういうことだ。
周りを見るとほとんどの者が同じ状態。
アボットくんもその場に倒れこむのだった。