第六師団中隊長ゴーディ12
「駆けろ。
できるだけ速く」
俺は周りのものに命令する。
とりあえず、第六師団アズローのところへ。
作戦は失敗だ。
八本剣、侍従長は健在。
中央軍には強兵を配置していると。
それも簡単には破れない。
革命で弱体化なんかしていないってことを伝えるのだ。
わたしがいちばん後ろだが、その後に歩兵がいる。
彼らは助からないだろう。
それはいい。
戦場ではしかたないことだ。
降伏すればそんなにひどいことにならないだろう。
とにかくバルデスの魔法で敵も追いかけるどころじゃなくなるはず。
そのとき、後ろで轟音。
俺は馬に乗ったまま振り返る。
後ろに炎の竜巻が起きている。
それも味方軍のところに。
どういうことだ。
バルデスのやつ、しくじったのか。
とにかく、俺の後ろの歩兵は全滅だ。
逃げる。それだけだ。
そのとき後ろから駆けてくるものがいる。
なんだ、敵の騎馬隊か。
わたしは振り返る。
その視界に信じられないものが映る。
ありえない。
後ろから追ってくるもの、それは敵の歩兵だ。
俺は馬で走っているんだ。
それなのに距離は縮んでくる。
すぐに俺のすぐ後ろにまで追いつく。
そいつは、あのゴードンを倒したあの歩兵。
たぶん、兵士に扮した八本剣のひとりだ。
やつは俺においつくと盾と槍を捨てて飛び上がる。
人間のジャンプ力ではない。
そのまま、俺の後ろに乗って、俺を捕らえる。
そして、馬から引きずり落とす。
俺はそのまま地面に叩きつけられる。
こんな強いやつそんなにいてたまるか。
こいつは八本剣に違いない。
おれは最後にその疑問をやつにぶつける。
「お前は…ゴードンを倒したやつ。
この身のこなし、やっぱり八本剣のひとりなのか」
そう言って俺は気を失った。