マネージャーキリシュ15
これは路上でやっているインチキな賭博のようなものだ。
三つの壺の中のどれにコインが入っているか賭けるというもの。
ディーラーの腕でどこにでもいれることができるという半イカサマだ。
この場合もなにか仕掛けがあるんだろう。
「あ、言い忘れてました。
3回間違えたらあなたの負けです。
頑張ってくださいね」
パピヨンはさっき消えたのと違う箱から顔を出して言う。
こんなのわかるわけない。
あまりにも分が悪すぎる。
こんなわけのわからないやつ、戦ったほうがいい。
むこうの舞台で戦う必要はないのだ。
それなのに子供の浅知恵でうけてしまった。
「わかったよ。
じゃあ、はじめていいよ」
スラリムはゲームを始めてしまう。
まあ、何かあったら俺がスラリムを守ることにしよう。
「では選んでください」
「んーんと。
それじゃこれ」
簡単に右の箱のところに行って開ける。
しかし、その箱は空。
これであと2回。
何か作戦でもあるのかと思ったけど、そういうのはないみたいだ。
やっぱり子供だ。
「残念、あと2回です」
パピオンは一番左の箱のドアを開いて現れる。
「うん、残念」
「では2回目にいきましょう。
あと2回間違えたらおわりですよ」
スラリムはパピオンが姿を消したとたん真ん中の箱に近づく。
そして扉を開ける。
もちろん、空。
もしかして、この子何も考えていない。
パピオンは左の箱から現れる。
「残念です。
あと一回です」
「うん、大丈夫。
早くやろうよ」
スラリムが言うと、パピオンは左の箱の中に消えるのだった。