第六師団中隊長ゴーディ10
女は元の場所に着地する。
最初に書いた狭い円の中に。
「あれっ?
ゆっくり燃やそうとしたのにね。
どういうこと?」
女はその場所で考える。
俺は残った馬を見る。
その背にはファーゴの下半身だけが残されている。
「おい、鳥。
おまえもやっぱり手加減ができないじゃないか。
それに、その円とか無意味だよな。
おまえ、飛べるんだし」
「うるさいトカゲ。
なんか一番弱い攻撃なのに、燃えちゃったんだよ。
なんか、すごい調子がいいみたい」
「そういえば、我もだ」
「もしかして、これって佐那ちゃんの愛じゃない」
「ああ、我もそれを考えていた。
美桜たんの歌を聞いてから、我の身体に力がみなぎってくるんだ」
「やっぱ、ジュエルボックスは最高だわ」
わけのわからない会話をする八本剣たち。
やっぱり格が違う。
こいつらに勝てるやつはいない。
噂どおり一軍に相当するやつらだ。
ここは一度仕切りなおすしかない。
そのためには、バルコスに魔法で牽制してもらって、その間に撤退するしかない。
俺はバルコスを呼ぶ。
こいつははぐれ魔導士とよばれている。
若いころは天才魔導士として富や名声に包まれていたようだ。
だが、若いころにちやほやされたことで、ダメになってしまった。
今やはぐれ魔導士として、俺の部隊に流れ着いた。
修練を積まない魔導士だが、その才能は本物だ。
普通の魔法だけでなく禁忌魔法まで使う。
そして、金のためならなんでもやる。
こいつに派手なのを一発放ってもらってその間に撤退する。
「バルコス、派手なのをたのむ」
「わかった。では禁忌魔法をはなってやろう。
ファイアーストームだ。
少し時間を稼いでもらおう」
バルコスはそう言って詠唱にはいるのだった。