第六師団中隊長ゴーディ05
「リンクス、ビンクス頼む」
とりあえず双子のナイフ使いだ。
こいつらはスピードとトリッキーな動きで相手を翻弄する。
身体の小ささ、身軽さも武器。
俺でも苦戦するだろう。
リンクスたちは前に出る。
軽業師のように大きくジャンプして、やつらの前に出る。
それに対して、両手に剣を持ったおっさんが出てくる。
「俺が行く」
キリシュとかいうやつだ。
奴が隊長だと思ってたが違うのかな。
となりのおっさんも強そうだが、頭がなさそうだし。
とにかく構えからして隙が無い。
剣に関してかなりの腕前なんだろう。
ただ、こっちのリンクスとビンクスにはそんなもの関係ない。
スピードで翻弄できる。
それに2人がかりの攻撃。
相手は有効な攻撃ができない。
「リンクスいくぜ」
「おうよ、ビンクス」
2人は左右に別れる。
これでどちらにも気をつけないといけない。
人間の視界には限りがある。
同時に二人をとらえるなんてできないのだ。
だから、どんな達人でもこの二人の動きを見切るのは不可能だ。
まあ、俺ならまず一人だけに集中してとらえるがな。
だが、こいつらのナイフには毒が塗ってある。
かすっただけでも大変なダメージを受ける。
リンクスとビンクスが動く。
左右から時間差でキリシュに襲いかかる。
相手はぎりぎりでそれを避ける。
ビンクスのナイフを剣で受け、リンクスのナイフを避ける。
紙一重ってやつだ。
俺は勝利を確信する。
なぜなら、リンクスたちの動きはいちばん低いギアのものだ。
あと三段階くらい速くなる。
たぶん、今のが奴の精一杯だ。
なんか今の攻撃を見て驚いた顔をしている。
「嘘だろ?」
キリシュがそうつぶやくのが聞こえた。
いままでにこんな攻撃を受けたことがないのだろう。
ただ、やつもただものではない。
たぶん、勘だけですべてを避けたのだ。
リンクスとビンクスはニヤリと笑って、次の攻撃の準備をするのだった。