マネージャーキリシュ09
やばい、こんなに早く攻撃してくるとは。
もっと相手は様子を見てくると思っていた。
最初に攻めてくるやつが弱いやつで助かった。
確かに巨大な槌を振り回していたが、素人の盾兵に止められるとはな。
たぶん、死亡フラグ立ちまくりの雑魚だったんだろう。
動きもスローだったしな。
あの動きなら攻撃が当たることはない。
アボット君、グッドジョブだ。
さて、相手に本気になられても困る。
出し惜しみはしない。
ここで俺たちが出る。
「みなさん、そろそろ行きます」
「でもこんなので相手は信じてくれるの?」
「ちゃんと八本剣って書いてあるから大丈夫だろう」
自身満々にリヴァイアさんが言う。
「わかったわ」
俺は敵軍の前に飛び出す。
そのあとにリヴァイアさんたちが続く。
「やあやあ、われこそは八本剣のひとり双剣の悪魔キリシュだ」
俺は用意してきたセリフを叫ぶ。
「我はリヴァイア」
「わたしはフェリクスよ」
「ぼくは宮廷侍従長スラリムだよ」
「わしは宮廷じじゅちょ?あれ?ノスフェラ、なんじゃったっけ」
「宮廷侍従長、ノスフェラトゥだよ」
「おお、それじゃ、それ」
自分の名前も忘れたのか。
やっぱじじいはボケてるな。
まるで孫とぼけ老人だな。
「ここから進むのなら俺たちが相手をする。
死にたくなければ引け!」
俺は敵軍に向かって叫ぶ。
完璧だ。
これで、相手は引いてくれる。
その間に本隊が敵を攻めてくれるだろう。
そう思ったとたん、一騎の男がこっちに向かってくる。
こいつなんかさっき檄をとばしてたやつだ。
隊長なのか。
「俺はガニア帝国第六師団中隊長のゴーディだ。
おまえらが王国八本剣か」
ゴーディは馬の上から俺たちを見下ろすのだった。