マネージャーキリシュ06
「今度は全滅させてもいいんじゃな」
じじいが身を乗り出す。
やっぱこのじじいボケてるな。
とりあえず、無視だ。
「それなら簡単ね。
このトカゲでもできそうだわ。
こいつ力の加減とかできないの。
ばかだから」
姉さんがおっさんを挑発する。
「おまえもだろ!
あら、人間って燃えやすいのね。
とか言ってんじゃねえよ」
「まあまあ。
今回は簡単そうだし受けようよ。
それに帝国の支配になったらライブとかできないかもしれないし」
「「何だって!それは困る」」
喧嘩をしていた2人がスラリムを見る。
「じゃあ今から全滅させてくる」
「わたしも」
おっさんと姉さんが立ち上がる。
「今じゃないんです。
将軍に任命されてですね。
みなさんのお力を貸してほしいというわけです。
あくまで軍の中で戦ってもらうということです。
もちろん十分な謝礼は支払います」
俺はおっさんたちを止める。
2人でなんとかなる問題ではない。
それにしてもさっきからのこいつらの話、どこまで本当なんだ。
もしかして、全員ボケてるとか。
まあ、これほどの手練れは探してもなかなかいない。
手ごまとしては最強だ。
コントロールは難しいがな。
「じゃあ、またお声をかけさせていただきます」
とりあえず、交渉成功だ。
「ああ、いつでも言ってくれ。
帝国軍なんて我一人でも全滅させてやる」
10人とかそういうのじゃないんだ。
何万人という軍隊なんだけどな。
「はい、頼りにしてます。
みなさんが味方してくれたら百人力です」
わたしはそう言って机の上の伝票を持って出口に向かうのだった。