マネージャーキリシュ04
「まあ、そういうことにしておきましょう。
それで、将軍の件、受けてもらえるんですよね」
「それは、確かにこの国が潰されてしまうのは困るが…。
一度考えてみる。
美羽にも相談しないとならないしな」
「わかりました。
しかし、あまり時間はありません。
もう帝国が進軍してきています。
その前にわたしが残った軍を集めておきます。
いいお返事を期待してます」
ウィラードはそう言って微笑む。
俺が受けるとでも思っているのか。
しかし、本当に帝国が進軍しているのなら時間はない。
ライブどころではなくなるかもしれない。
俺は帰ってメンバーを集める。
「それで、キリシュさんが将軍になったら王都はすくわれるんですか?」
美羽が俺に問う。
「それは、難しいでしょうね。
わたしは元冒険者であって軍の人間ではないですからね」
「それじゃあ、帝国に占領されたら、この王都はどうなるの?」
「徹底的に蹂躙されるでしょう。
とりあえず、ライブどころじゃなくなります」
「逆らわなくてもですか?」
詩織が小さく手をあげる。
「ええ、あの国は皇帝の独裁体制ですから。
市民の自由はかなり制限されます」
「それじゃあ、助けてくれる国とかないの?」
一夏がわたしに問う。
「共和国でしょうね。
帝国よりましですが…
かなりの借りができてしまいます。
それに、あの国は決断に時間がかかります。
まず、間に合わないでしょうね」
「それじゃあ、自分たちでなんとかするしかないってことですね」
「ええ、しかしこの国にはもう帝国と戦える戦力はないです」
「それなら、妾が戦うにゃん。殲滅にゃん。帝国を滅亡させるにゃん」
リムが嬉しそうに飛び跳ねる。
まあ、子供の言うことだ。
「それでも、できることをしなければしかたないですよね。
もし、必要ならわたしたちも戦います。
それで、キリシュさんはマルクスさんの言うことを聞いてください。
今日からしばらくマネージャーを解雇します。
わたしたちも町の人に声をかけます。
それで、戦ってくるくれる人がいたら協力をお願いします。
キリシュさん以外のマネージャーは路上ライブの準備をしてください」
美羽はリーダーらしく素早い決断を下すのだった。