白銀美桜07
翌日、朝から練習を行う。
アイドルってなかなかの肉体労働。
毎日のトレーニングが大事。
一種アスリートなところがある。
基礎練習から舞台の練習まで、みっちりと行う。
ケガとかしたら終わっちゃうからね。
そのあと、今日の段取りを覚える。
メモとかないから、頭で覚えないと。
でも、苦手なMCとかないから曲の順番だけ。
曲は何度もやってるから、身体が覚えている。
それに歌詞はなんか簡単に覚えられるんだよね。
わたしはあんまり間違ったりしない。
ときどき、完全にとんじゃうこともあるけどね。
そのときのごまかしはうまいっていわれてる。
あと、今日の売上目標は10000ゴル以上。
日用品とか必要だしね。
おわったら、買い物にいくことになっている。
あと、今日は身体を洗わないとまずい。
宿できいたら、お風呂屋はあるらしい。
シャワーみたいなものってイメージだけど、ひとり100ゴルくらいするらしい。
じゃあ、めざせ10,000ゴル。
これは稼がないと死活問題だからね。
でも、なんか身体が軽い。
これは若返ったから?
まあ、いいか。
今日は10曲でアンコール1曲を用意している。
宣伝とかしていないから、客の入りが心配。
まず、一時間前くらいに行って場所取りをする。
少し裏になるけど、広い場所が確保できる。
看板とかあったらいいけど、まだわからないから。
20人集まったらスタートするって決めてる。
「少し待ってくださいね。
もうすぐはじめますから」
観客の集まるのを待ちながら、声で案内する。
「昨日はよかったです。
また、あの歌やってもらえますか」
「はい。今日もやりますよ」
少し小太りの若い人が頬を染めて聞きに来る。
リュックみたいなの背負ってるし、シャツはチェック柄だし。
この世界にもこんな感じの人いるんだ。
あっと言う間に、20人くらいになる。
「じゃあ、はじめるか」
わたしたちは円陣を組む。
「よし、異世界での初ライブ、がんばるぞ!」
美羽リーダーの檄で、みんな自分のポジションに散っていくのだった。