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異世界アイドル転生譚 転生したら魔王たちに推されて最強です  作者: PYON
4章 ジュエルボックスと市民革命
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革命家マルクス07

「ちょっと出かけてくる」

 わたしは秘書の者に声をかける。


「どちらへ?」


「ちょっとだ」


「もしかしてライブですか?」

 秘書はわたしの前に立ちふさがる。


「ああ、でも2時間くらいで帰ってくる。

 ライブはわたしの命なんだ」


「だめですよ。どれだけ仕事がたまっているとおもっているんですか。

 とにかく席に戻ってください」


 わたしはこのパトリック国の初代大統領となっていた。

 もちろん、これはわたしの意図したところではない。

 何度も断ったのだ。

 しかし、わたしが率先して美羽たん救助隊を作って王宮に向かったことが違う解釈で伝わったのだ。

 踊りながら民衆を鼓舞し、王宮に向かい政権を倒した。

 それはダンス・ダンス・レボリューション(踊れ踊れ革命)と呼ばれた。

 なんか聞いたような言葉だな。

 それで、民衆の人気を一気に集めたのだ。

 わたしは革命家として絶大な人気を集めた。

 過去に書いた革命の本が広く出版され、その思想がもてはやされた。

 人間には基本的な権利があり、それが奪われたら実力を行使してでも奪い取るべきだという付け焼刃の人権思想だ。

 これは、わたしが若い頃に書いたものであり、黒歴史と言っていいものだ。

 今なら、ジュエルボックスの素晴らしさで何冊でも本が書けるだろう。

 とにかく、初代大統領はわたししかいないということになった。


 まあ、本業はドルヲタだが、副業で革命家もやっていた。

 あれっ?どっちが本業だっけ?

 だから、昔、共和国の統治機構について学んだことはある。

 選挙によって選ばれたものが国民のために政治を行う。

 それが、最高だとは思わないが、他の統治制度よりましだろう。

 わたしは乗りかかった船で、国の中央で働いた。

 わたしは王族の処置、法律の制定、選挙の基礎を作り上げた。

 そして、身を引こうとしたが、大統領選挙で立候補していないのに、国民はわたしの名前を投票用紙に書いたのだ。

 それで、今大統領をやっている。


 今日はやっと手に入れてもらったライブの日だ。

 絶対に行く。

 わたしは秘書を押しのけて出口に向かおうとする。

 だが、屈強な兵士がわたしを連れ戻す。


「もう、あなたの身体はあなただけのものではないんです。

 もし、あなたが殺されたりしたら、どれだけの混乱が起こるかわかりますか。

 今はこの国の大事な時期です。

 こらえてください」


「いつまで?」


「この国が安定するまでです。

 少なくとも任期2年の間は無理ですよ」


「そんなに?いやだよ。大統領やめた~い」

 わたしはその場で膝をつき絶望に崩れ落ちるのだった。

 


 

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