革命家マルクス05
『待っているだけじゃ、何も変わらない。
自由はつかみ取るものなんだ。
続け我らに。
皆で歌おう革命の歌』
わたしたちの後ろにたくさんの市民が続く。
その列は王宮までの道を埋めつくす。
「倒せ!王を!」
「もうたくさんだ。我々は自由になるんだ」
「革命だ!この国を我々の手に」
「もう搾取はさせない!」
民衆は口々に叫ぶ。
わたしたちは、推しをとりもどしにいくだけなんだけどな。
なんか話がおおきくなってね?
まあ、いいか。
もともとわたしは革命家だったんだし。
わたしの前に王宮の門が見えてくる。
その前には兵士が壁を作っている。
『さあ、立ち上がれ。
武器をとれ。
戦え。
大事なもの守るために』
ペンライトを振りながらオタ芸をする。
民衆もみんなそれを真似する。
最初は見よう見まねだったけど、だんだんその動きはそろってくる。
ライブだ。これはライブだ。
「LOVE、美羽たん!」
我は叫ぶ。魂の叫びだ。
聞け体制のものども。
これが民衆の叫びだ。
「とまれ、ここは王宮だ。
おまえたちは王に反逆するのか」
「美羽たんを返せ!」
わたしたちは盾の壁に突撃する。
私の体は盾と後ろからの群衆におされてもみくちゃになる。
これは死ぬな。
わたしは覚悟する。
しかし、美羽たんのために死ぬのなら何も惜しくはない。
わたしの命のひとつやふたつ、くれてやる。
ドーン。
その時大きな地響きが起こる。
何だ。
「王宮が、危ない。
みんな王宮に戻れ!」
隊長らしき人が兵士たちに命令する。
そして門が開けられ、兵士たちは王宮に戻っていく。
どうしたんだ?
考えるひまもなく。
わたしは民衆に押されて、門の中になだれ込むのだった。