マネージャーキリシュ12
さて、そろそろ門だな。
おっさんたちはちゃんと食い止めてくれているみたいだ。
なんか、人をおとりにして逃げてくるっていうのは性に合わないが、しかたない。
それにあのおっさんとか姉さんなら騎士ごとき大丈夫だろう。
8本剣とか出てきたら引き上げるように言ってあるし。
おっさんなら相手の強さとかわかるだろう。
かなわないとなったらうまいこと引き上げてくれると思う。
俺のミッションはこの子たちを逃がすこと。
おっさんたちだけに任せているわけではない。
この門では戦闘は避けられない。
強い兵士は王宮の中にいる。
門を守るのは下っ端。
ただ、数はいる。
それを殺さずに眠らせる必要がある。
まあ、八本剣の一人でもいたら無理げーだが、そうならないことを祈るだけ。
兵士が2人こっちに近づいてくる。
「なんだお前らは?」
「あのジュエルボックスです。
王宮での公演の帰りです」
俺は愛想笑いを浮かべながら兵士たちに答える。
「聞いてないが」
「ええ、あまりにもつまらなかったみたいなんで、すぐに失せろって」
「そんな例はないな。
王の不興を買った場合は、牢獄に入れられるんだ」
「そうなんですか?
しかし、わたしらは、失せろって追い出されました」
「まて、確認してみる」
兵士は振り返る。
その後ろに素早く近寄る。
そして手刀で頭の後ろを打つ。
そのまま、兵士は前に倒れる。
安心しな。峰うちだよ。
「どうした」
もう一人の兵士がこっちにくる。
そいつにも当て身を食らわす。
さて、ここからはスピード勝負だ。
敵がわけもわからないうちに突破する。
「わたしが、こいつらをひきつけます。
その間に門をぬけてください」
わたしは振り返る。
えっ?ひとり足りない。
リムか。
「リムは…」
「リムちゃん。さっき忘れ物って、後ろに走っていきました」
「まさか…」
全員を逃がしてこその作戦だ。
俺の頭の中は混乱する。
どうすればいい?
俺はつぎの作戦を考える。
その時、地響きがして俺の目の前で城が崩れ落ちていくのだった。