スライム王 スラリム03
「短剣か。
おまえみたいなちびにはその程度しか扱えないということか。
変に剣を使うよりもやっかいかもしれないな。
自分のことがわかっていないやつは怖くないからな」
ガダンはそう言ってぼくの周りをまわるように動く。
武器なんてなんでもいい。
なんだったら大剣でも振り回せるんだよ。
小さくて持ち運びやすいから、これを使っているだけ。
「ただ、それは間合いが小さい。
かなり、踏み込まないと俺を刺せないぜ」
いや、触手を伸ばせば簡単。
現に今、ガダンを殺すことができた。
隙だらけだもんな。
でも、今は殺すのが目的ではない。
時間かせぎをする必要がある。
だから、簡単に殺さない。
ガダンはぼくの周りを動き回る。
たぶん、企んでいることはわかるんだけど、時間稼ぎにちょうどいい。
罠にかかってやるか。
「ハハハ、これでお前は終わりだ」
ガダンは笑いだす。
「どういうこと?」
ぼくはあえてガダンに問う。
「お前の周りに糸剣の結界を張った。
この手を引けば、お前はバラバラになる」
そう言って両手の指先を見せる。
その10本の指には銀の指輪がはめられている。
その指輪から何か糸のようなものが伸びている。
これが、こいつの武器。
ぼくはガダンのほうに動こうとする。
「動くな。死ぬぞ」
勝ち誇ったように言うガダン。
たしかに、ぼくの身体のあらゆるところに糸がからみついている。
うーん。微妙な技だな。
もう100回は殺せてるよ。
こんなに仕掛けに時間をかけていてはね。
こんなのかかっちゃうやつっていないだろう。
ぼくはガダンの言葉を無視して、前に進む。
「ばかか。
もう終わってるのがわからないのか」
「ん、終わってないよ」
「なら、死ね!」
ガダンは両腕を引く。
そのとたん、糸はぼくの身体にきつく巻きつくのだった。